コロナ巡り対立の中国・オーストラリア 関係悪化から1年、改善の兆しなし

2021年5月4日 20時58分
 【北京=中沢穣】中国とオーストラリアが、関係悪化から1年が過ぎても互いに強硬姿勢を崩していない。豪州産の石炭や農産物などの輸入を制限する事実上の制裁を続ける中国に対し、豪政府は地方政府などが中国側と独自に結んだ協定や契約の破棄などを進めている。中国は報復を示唆しており、対立に拍車がかかりそうだ。

◆オーストラリア、「一帯一路」協定を破棄 「港99年賃借」も見直しへ

 豪政府は4月下旬、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関して南東部ビクトリア州政府が結んだ協定2件を破棄。ペイン外相は「豪州の外交政策とそぐわない」と破棄の理由を説明していた。一帯一路と距離をおく豪政府は昨年末、大学や地方政府が外国と結んだ協定を破棄できる法律を制定していた。豪政府は実際に協定破棄に踏み切り、対中強硬姿勢を緩めない考えを示した形だ。
 中国外務省の汪文斌おうぶんひん副報道局長は記者会見で「両国関係を損なう。さらなる対応をとる権利を留保する」と報復を示唆した。
 さらに豪メディアによると、豪政府は、中国企業が北部準州政府と結んだダーウィン港を99年間賃借する契約についても、安全保障上の理由から利用制限など見直しの検討を始めた。一方、香港メディアによると、契約の破棄などは中国側への巨額の補償金が発生するため、実際にはハードルが高いとみられる。

◆中国、輸入で事実上の制裁 輸送船が滞留する事態も

 中豪関係の悪化は、昨年4月に豪政府が新型コロナウイルスの発生源を巡って中国での国際調査を求めたことがきっかけだ。中国は、同5月に豪州産大麦に対する反ダンピング(不当廉売)の制裁関税をかけたのを皮切りに、石炭やワイン、木材などの輸入を制限して事実上の制裁を科した。
 昨年の豪州から中国への輸出額は前年比2.16%減にとどまったが、豪州産からの代替が難しい鉄鉱石の輸出に支えられた部分が大きい。中国ではインフラ投資など景気刺激策によって鉄鋼需要が伸び、鉄鉱石価格が高騰している。香港メディアによると鉄鉱石を除いた3月の中豪の貿易額は前年比で4割も減少した。
 昨年6月以降、豪州から石炭を運ぶ輸送船が中国の港に入る許可が得られず、最大で70隻以上が沖合に滞留する事態も生じた。停泊が9カ月に及んだ船もあった。豪メディアによると、これまでに一部が入港したり、他国に向かったりしたが、4月中旬時点で35隻が停泊を続けている。

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