<こども新聞>地域で子ども見守る 豊島区、全域で毎月食品配布

2021年5月5日 07時04分

スタッフから食品や絵本などを受け取る親子=いずれも豊島区で  

 コロナ禍の影響で、多くの子ども食堂が開けずにいる一方、生活が苦しい家庭に食材を配ったり、自宅に届けたりといった支援が広がっている。豊島区では官民連携で毎月、区内全域で食品を配る取り組みが続けられている。活動に関わる住民や企業が増え、地域全体に助け合いの気持ちが根付いている。
 「元気にしていましたか」「よく来てくれたね」。四月下旬、「区民ひろば千早」に明るい声が響き渡った。付近の住民七人が、やって来る一人親や子どもたちに声を掛けていく。手渡す袋には、米や菓子、文具、絵本などがたっぷり。
 中学生の娘がいる女性(41)は「直接顔を合わせる人以外にも、大勢の地域の人に支えられている実感がある。豊島で子育てができてよかった」と笑顔。袋詰めしていた地元の主任児童委員、伊藤恵美子さん(58)は「ここは出会いの場。気を掛け合う人が増えていけば」と目を細めた。
 この日や翌日に、区施設や地元企業など計十三カ所で一斉に実施。利用者でもあるシングルマザーも、運営側に参加していた。
 子ども食堂を運営する団体などで作る「TOSHIMA(トシマ) TABLE(テーブル)」が休校中だった昨年三月、区などと連携して開始。区の主催で米や食事券を配ったりと、区内では毎月、途切れることなく食品配布が続いている。利用世帯はこの一年で約五百に倍増し、運営に関わる住民も増えた。

無料配布する食材や文具などを準備するスタッフら

 昨年十一月から今年三月は、トシマテーブルに加わるNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」が区の委託を受けるなどして、一人親家庭など最大約三百二十世帯の子どもたちを毎月訪ねた。支援員を務めたのは、約七十人の住民たちだ。栗林知絵子理事長(54)は「孤立や貧困は、地域に生きる私たちの問題。声を掛け合える関係が地域にあるのは大切で、そんな関係が生まれている」とほほ笑む。
 NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(新宿区)などが二月、全国の三百四十三の子ども食堂に行った調査では、会食できていたのは一割のみ。代わりに、七割以上が弁当や食材を配布・配達した。子どもと文通したり、食材の配布会場で糸電話を使って交流するといった工夫も。子ども食堂と自宅などをつないでオンライン食事会をした団体もあったという。
 むすびえプロジェクトリーダーの三島理恵さん(38)は、「コロナ禍で食の支援のみならず、孤立を防ぐ重要度も増している。各地の子ども食堂は、共生社会を地域で実現する大きな役割を担い続けている」と話す。
★3月末にオープンした板橋区立中央図書館は、いたばしボローニャ絵本館=写真、同区提供=を併設。100カ国70言語の絵本約3万冊を所蔵する。
★豊島区雑司が谷の鬼子母神境内には江戸時代に創業した駄菓子屋「上川口屋」がある。扱うお菓子は100種類以上。
★北区立王子六丁目児童遊園は、ロボットの遊具=写真、東京北区観光協会提供=が目印。滑り台にもなっていて、子どもたちに人気。

◆編集後記

 五歳の息子は、道草の名人。気になる石があれば拾い、目当てのタイルを見つけては踏みに行く。なかなか目的地にたどり着かないので付き添いが大変だが、まねして歩くといつの間にか、道のり自体が楽しく思えるのだ。
 つらい気持ちをため込みやすいコロナ禍こそ、大人も身近な物に関心を寄せてみては。こどもの日はぜひ、子どもたちの視線から遊びの楽しさを学んでみよう。
 文・中村真暁/写真・松崎浩一
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