<新型コロナ>「盲導犬利用者に声掛けて」 買い物や他人との距離…不便さ増す 協会がサポート求める

2021年5月5日 07時59分

盲導犬のイルミーと散歩する山上隆幸さん=伊豆の国市で

 新型コロナウイルス禍で盲導犬と生活する視覚障害者が、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の取り方や消毒液の設置場所が分からないなど、新しい生活様式に不便さを感じている。日本盲導犬協会は「コロナ前と後でサポートの仕方が異なることはない。声掛けを」と呼び掛けている。 (山中正義)
 伊豆の国市の無職山上隆幸さん(67)は、先天性の白内障で幼いころに手術、緑内障を併発。四十代半ばで単独歩行が難しくなり、九年前から盲導犬と暮らす。ラブラドルレトリバーの「イルミー」がパートナーだ。
 コロナ禍以前は買い物や食事などに盲導犬と出掛けることが多かったが、今は近所での散歩となじみの飲食店を除き、なるべく外出は控えている。盲導犬は常に清潔さを保っているが、「動物は汚い」「コロナを媒介する」と根拠のない偏見を持つ人もおり、連れ出しにくくなった。
 視覚障害者の日常生活に欠かせない触覚や音声情報が、新しい生活様式で得にくい状態になっていることもある。今は接触に敏感な時代で、買い物時に商品を触って確認するのは気が引けるという。
 盲導犬利用者の中には、コロナ禍による人手不足などを理由に介助を断られたケースもあるといい、山上さんは「店の人がサポートしてくれるとありがたい」と訴える。
 新しい生活様式では、買い物以外にも慣れないことは多い。飛沫(ひまつ)感染防止のアクリル板に気付かずに顔をぶつけたり、遮蔽(しゃへい)で相手の声が聞き取りにくくなったり。他人との距離の確保も教えてもらわないと分からない。
 日本盲導犬協会は今年初め、コロナ禍における外出時の不安や困り事を盲導犬利用者の二百三十人に調査。「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」といった意見が多く、以前にも増して生活に不自由を感じている実態が浮かんだ。
 盲導犬利用者の外出頻度は減っているといい、同協会の担当者は「今までできていたことができなくなり、困っている人が取り残されている」と指摘。山上さんは「手を引く必要はなく、『こっち』などと声でサポートしてくれるだけで助かる。誰かが見ていてくれると安心にもつながる」と理解や配慮を求める。

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