国民投票法改正案が今国会で成立へ 自民、立民が合意 衆院憲法審査会で可決

2021年5月6日 21時17分
国民投票法改正案を賛成多数で可決した衆院憲法審査会

国民投票法改正案を賛成多数で可決した衆院憲法審査会

 自民、立憲民主両党は6日、改憲手続きを定める国民投票法改正案について、CM規制の検討などを付則に明記する修正を加え、6月16日までの会期中に成立させることで合意した。これを受け、衆院憲法審査会は改正案を修正の上、賛成多数で可決したが、投票環境の整備を始め、積み残しの課題は多い。新型コロナウイルスの感染拡大への対応が急がれる中、改憲の機運も高まっていない。

◆9国会目で大きな動き

 安倍政権下の2018年6月に提出された改正案の審議は9国会目で大きく動いた。自民は立民の修正要求に応じる考えを幹事長会談で伝え、立民も採決を容認した。11日の衆院本会議で可決され、参院に送付される見通し。10月に衆院の任期満了を控え、今国会で成立しなければ廃案が確実な情勢だった。
 改正案は駅や商業施設への共通投票所設置を可能にするなど、公選法の規定に合わせた7項目の見直しで国民投票の利便性を高めるのが狙い。共産党を除く全党が賛成した。
 修正案は資金量で差が出るテレビCMやインターネット広告、賛否両派の運動に対する外国人からの寄付制限といった課題に関し、結論を先送りする代わりに「施行後3年をめどに必要な法制上の措置、その他の措置を講じる」と付則に盛り込む内容。提出した立民のほか、与党と国民民主党が賛成し、共産と日本維新の会が反対した。

◆立民 福山幹事長「評価したい」

 立民の福山哲郎幹事長は記者団に「CM規制などについて、ルール作りできる状況になったことは評価したい」と語った。今後の改憲論議に関しては「手続き法が整っていない」と述べ、修正案に沿った法整備を優先すべきだと主張した。

◆自民 二階幹事長「粛々と進める」

 次期衆院選に向けて保守層をつなぎ留めたい自民は今回の見直しを「憲法改正の議論を進める最初の一歩」(菅義偉首相)と位置付ける。二階俊博幹事長は福山氏との会談で「国民のための憲法論議を粛々と進めたい」と強調した。(生島章弘、横山大輔)

◆衆院憲法審 法案質疑要旨

衆院憲法審査会で6日行われた国民投票法改正案に関する質疑の要旨は次の通り。(改正案の採決前に行われた各党討論、採決後の各党自由討議は省略)
 船田元氏(自民)投票運動はできるだけ自由に、投開票手続きに関する事項は公選法並びにするという国民投票法制定当時の制度設計の思想を維持すべきだというのは共通認識だ。
 新藤義孝氏(自民)国民投票法の議論は、憲法改正の手続きの向上を目指すものであり、憲法本体の議論があってこそだ。CM規制など国民投票法の次なる議論を進めることと併せて、憲法本体の議論を粛々と進めていくべきだ。
 今井雅人氏(立憲民主)広告規制は4つの論点にまで絞られている。既に顕在化している問題があるなら、まず一緒に解決したらどうかと、ずっと提案してきたし、今もそう思っている。課題が残されている以上、解決しない限り、国民投票を実施することは、あってはならない。
 大口善徳氏(公明)感染症のまん延、巨大地震の発生など緊急時における国会の機能のうち、国会議員の任期や、本会議の定足数における出席の概念の問題、デジタル時代の人権や民主主義の保障といった諸課題に同時並行的に取り組むことこそが憲法審の責務だ。
 北側一雄氏(公明)憲法本体の議論をしっかり行うことが憲法審の役割。週1回の定例日に必ず開催し、自由闊達(かったつ)に憲法論議を重ねていくことが重要だ。
 本村伸子氏(共産)現行の国民投票法は最低投票率もなく、有権者の1、2割台の賛成でも改憲案が通る問題など、民意をくみ尽くす上で重大な欠陥を持つ。(改正案にある)共通投票所の設置を理由に投票所を削減、集約することは、投票環境の悪化にもつながりかねない。
 逢沢一郎氏(自民)自治体によっては、区域の人口や職員数の減少で投票所数を維持するのが物理的に困難な場合が生じている。投票所数が減少しても、共通投票所を駅やショッピングセンターなど人が集まりやすい施設に設置し、高齢者等への移動支援も組み合わせることで利便性の向上に取り組んでいる。
 本村氏 (外資の献金規制で)株式の上場審査基準をクリアすれば、外国の影響を受けない根拠は。
 井上一徳氏(無所属)上場審査は、コーポレートガバナンス(企業統治)及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること、企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること等が実態的に判断される。不適切な外国の勢力からの影響が及ぶことはない。
 馬場伸幸氏(維新)日本が抱える具体的な課題を解決するため、国会から憲法のあるべき姿について率先して論点を提示することで、結果的に民意が形成されていくのもまた当然のことだ。毎週定例日に憲法審を開催し、憲法論議を広く展開していくことこそ、民意に応えるものと確信する。
 足立康史氏(維新)立憲民主党の修正案は、施行後3年という期限を設けて(CM規制などの)検討を求める内容。新たに期限を設けることは、憲法改正に向けた国会の発議権を制限するとの誤解を招きかねない。
 中谷元氏(自民)検討期限はめどで、確実に3年で結論を出さなければならないというものではない。憲法本体の議論や改正案の発議を妨げるものではない。他の検討事項の立法例からも明らかだ。
 山尾志桜里氏(国民民主)(立民の修正案にある)検討は速やかにやるべきだ。検討した上で解決が見えたものは、順次必要な立法上や運用改善の措置をとることは可能と読める。修正案が成立しても、本体議論の機会を法的、政治的に狭める効果を持つべきではない。
 北側氏 特にCM規制の問題は施行後3年と言わず、できるだけ早く論点も整理し、結論を出していきたい。
 中谷氏 検討条項の例示をもって、憲法本体の議論、本来の(改憲案の)発議の提案も縛られないとわれわれは理解している。

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