菅首相の「短期集中」不発、「3週間は必要」専門家の警告を軽視した政府 緊急事態宣言延長へ

2021年5月7日 06時00分
 政府は6日、新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長を決めた。今回は飲食店対策に絞った2回目の宣言より幅広い業種に休業を求めるなど、強い対策を「短期集中」で講じ、感染拡大を抑えることを目指したが、結果は不発。期間を17日間に設定した宣言決定の前後から、2週間余で感染者を大きく減らすのは困難との専門家の懸念が現実になり、警告を軽視する政府の対策の信頼性が一段と揺らいでいる。(村上一樹)

◆思惑

 菅義偉首相は宣言延長を確認した関係閣僚との協議後、設定した期間が短すぎたのではないかと記者団に問われ「宣言時に申し上げたが、大型連休を活用して短期集中でお願いした。人の流れが減少したことは事実だ」と強調した。
 首相は1月、期間を1カ月と定めた2回目の宣言時、理由を「対策の効果が感染者数として表れるのに2週間ほどかかる。それ以降に見極めて分析し、対策を練る期間が必要だ」と説明。だが今回は、既にまん延防止等重点措置を適用していたことを挙げ、4月25日の発令を前に「短期集中」を前面に出した。
 「対策を徹底して結果を出したい」「首相として、できることは全力を尽くしてやり抜く」と決意を表明。政権幹部は「5月11日で終わる」と明言し、解除ありきの姿勢を隠さなかった。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日が17日に予定されていることもあり、経済への影響や東京五輪・パラリンピック開催の機運に水を差すのを避けたいとの思惑が透けて見えた。

◆政治主導

 「政治主導」で期間を決めたことは、当時の専門家の発言からもうかがえる。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、発令前の4月21日に国会で「個人的には最低3週間は必要だと思う」と発言。発令が決まった23日にも「5月11日になったら、無条件で解除ということではない」とくぎを刺していた。
 同分科会委員の日本医師会の釜萢敏常任理事も同時期に「ステージ3(感染急増)に至らないなら、仮に(感染者の)減少が見られても解除はあり得ない」と記者団に強調していた。
 もともと休日は検査数が少なくなる傾向があり、専門家からは大型連休を挟み、11日までに感染状況を見極めるのは困難との見方も出ていた。官邸筋は「もう数日たてば対策の効果が見えてくる」と今も期待感を示すが、そうなったとしても期間設定との整合性は取れない。
 首相は「人の流れは減少した」と繰り返した。ソフトバンク系IT企業「アグープ」のデータによると、東京都や大阪府などの繁華街の人流は感染拡大前より減っているものの、昨年の大型連休中よりは人出が増加した。感染力が強い変異株の猛威という新たな懸念材料もある。
 首相は1月の宣言時も「何としても1カ月で感染拡大を防止したい」と強調しながら、2度の延長に追い込まれて謝罪した。今回も1度の延長で終わらない可能性もある。

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