バイデン政権、コロナワクチン特許権放棄を支持 製薬業界は猛反発

2021年5月6日 22時11分
バイデン米大統領(AP)

バイデン米大統領(AP)

 【ワシントン=吉田通夫】バイデン米政権は5日、新型コロナウイルスワクチンの特許権放棄を支持すると表明した。新興国が世界貿易機関(WTO)に要請し、米国は当初反対していたが、方針を転換した。ワクチン製造の知的財産権を開放することで、先進国がワクチンを独占しているとの批判をかわし、中国やロシアの「ワクチン外交」に対抗する狙いがあるが、製薬業界は強く反発している。
 各国の特許権保護はWTOの協定で定められているが、米通商代表部(USTR)のタイ代表は声明で「パンデミック(世界的大流行)を終わらせるため放棄を支持する」と発表し、WTO交渉に米国が積極的に関与する立場を示した。
 ワクチンの特許権を巡っては、インドと南アフリカが昨年、ワクチン生産を増やすためWTOで一時的に適用を除外するよう求めていた。米国は医薬品業界の投資回収を優先して反対してきたが、米メディアによると、政権は民主党議員から特許権放棄に賛同するよう求められていた。
 米国の放棄表明で、WTOは今後、具体的な内容を詰めるが、WTOには全会一致の原則がある。タイ氏は「問題が複雑なため交渉には時間がかかる」とも指摘した。
 世界の製薬業界でつくる「国際製薬団体連合会(IFPMA)」のトーマス・クエニ事務局長は4月29日の英BBCのインタビューで「ワクチンの製造は非常に複雑で、ファイザーのワクチンも280の原材料と86の調達先が必要だ。特許を開放しても1回分の供給量も増えない」と反発した。

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