ワクチン接種、歯科医師に頼む? 供給スケジュールは? 国からの通知に自治体困惑

2021年5月7日 06時00分
高齢者施設へのワクチン配送準備を進める職員ら=東京都練馬区で(同区提供)

高齢者施設へのワクチン配送準備を進める職員ら=東京都練馬区で(同区提供)

 高齢者向けの新型コロナウイルスワクチンの接種を加速させようと政府が躍起となる中、集団接種などを担う自治体での混乱が続いている。厚生労働省は先月末、条件付きで歯科医師もワクチンを打つことができると自治体に通知した。医師や看護師に限ってきたが、接種の担い手不足に対応するためだ。だが、歯科医師に依頼するかは自治体の判断に委ねられている。(太田理英子)

 ◆国から「条件満たせば違法でない」と言われても…

 人口10万人に対する医師数が全国45位(2018年時点)、看護師数が同46位(同)と、医療人材不足が続く千葉県。県の担当者は「歯科医師による接種後に責任を問われるようなことが起きたらどうするのか。依頼は慎重にならざるを得ない」と明かす。
 担当者がそう心配するのは、厚労省から4月26日付で届いた歯科医師による接種に関する事務連絡の内容にある。歯科医師は法律上、ワクチン注射をできないが、①歯科医師の協力なしでは集団接種が困難➁歯科医師が筋肉注射を経験しているか、必要な研修を受けている③被接種者が同意している―という条件を満たせば、「違法性が阻却され得るものと考えられる」と記載されている。
 この事務連絡の意味について、厚労省の担当者は「容認というより、条件を満たせば違法性はないと示した」と説明。歯科医師に依頼するかは、あくまで自治体に判断を委ねるものだ。
 同県東金市では、日によって集団接種会場で看護師2~3人が不足する見込み。だが、担当者は「急に出た話で、歯科医師への依頼の検討は進んでいない」と話し、市内の城西国際大看護学部と薬学部の教員に協力を求めるという。

 ◆供給見通せないと接種スケジュールも立てづらく

 政府からのワクチン供給スケジュールの発表も遅れが目立ち、ワクチンの移送や接種計画を巡る混乱も見られる。
 診療所など約320カ所での個別接種と集団接種を組み合わせる東京都練馬区の担当者は「長期的な配分量が分からず、各診療所に運ぶスケジュールを立てにくい」と漏らした。
 同区は、施設4カ所に置いた超低温冷凍庫から、それぞれ診療所など70~80カ所にワクチンを運ぶ。零下20度前後で運ぶ必要があり、輸送車8~16台が1日2回、それぞれ約8カ所を2時間で回る計画だ。だが供給量が見通せない中で具体的な搬送スケジュールをなかなか決められず、高齢者への接種の終了時期も見通せなくなった。
 個別と集団の接種の割り振りがうまくいかないケースも。千葉市は約330カ所での個別接種と1カ所での集団接種で行う予定だが、80歳以上の受け付けで集団接種への予約に集中し、一気に7月分までの予約が埋まった。担当者は「想定以上。かかりつけ医のいない人が集中したのかも」と話し、いずれの接種枠も拡大を進めるという。

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