緊急事態宣言延長でコロナ対策どう変わる? 飲食対策重視に逆戻り 「人流抑制」は緩和

2021年5月8日 06時00分
 新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長を正式決定した政府の新たな対策は、大規模イベント開催や大型商業施設の営業の要件を緩和した一方、飲食関連の制限を維持・強化したのが特徴だ。大型連休前に打ち出した「人流抑制」策の効果を検証しないまま、対策の中心を年初の宣言時の飲食重視に逆戻りさせた。感染力の強い変異株が広がる中、またも感染拡大につながる恐れはないのか。(上野実輝彦)

◆大型連休終わり、人流抑制緩和

 菅義偉首相は7日の記者会見で、連休中の人流抑制策に関し「東京や大阪は4月初めと比較して夜間は6、7割、昼間は4、5割ほど減少している」と強調した。
 3度目の緊急事態宣言発令を決めた4月、首相は「1段と感染レベルを下げるために、人と人の接触機会を減らす」と表明。具体策がイベントの無観客開催や大型施設に対する休業要請だった。
 その結果、政府は人流が抑えられたと判断。緩和にかじを切り、観客を入れたイベント開催や百貨店などの営業を認めた。政府高官は「人流抑制は(人の移動が活発になる)大型連休中の措置。今回はいったん切ってゼロからスタートするから、2度目の宣言と同じ措置になる」と説明する。

◆専門家は緩和に危惧

 だが、人流は減っても、東京都や大阪府の感染者数は高止まりの状態。政府の基本的対処方針分科会の委員を務める日本医師会の釜萢敏常任理事は7日の会合後、記者団に「感染者数の着実な減少が確認できないうちの緩和はあり得ない。緩和が前面に出ることには、非常に危惧の念がある」と懸念を示した。
 西村康稔経済再生担当相は人流抑制策に関し「どう効果が出てくるかはこれから分析する」と、詳しく検証しないまま緩和に踏み切ったことを認めている。
 イベントや大型施設に関し、さらに強い措置を取るかどうかの判断を都府県の知事に委ねたものの、効果は見通せない。
 飲食店に対しては、酒類の提供だけでなく客の持ち込みも制限。国民には路上での飲酒の自粛も要請し、飲食関連の対策を強化する姿勢を鮮明にした。
 宣言の対象地域を巡っても、要請がなかった愛知、福岡両県を加えた。愛知県の大村秀章知事は「(政府側から)予防的観点で先手を打った方がいいとの意見をいただいた」と明かす。

◆緩和と強化が混在

 一方、まん延防止等重点措置の適用を要請した茨城、石川、徳島3県は対象外とした。緩和と強化が混在する新たな対策は、ちぐはぐにも見える。政府から宣言延長の報告を受けた7日の参院議院運営委員会で、立憲民主党の横沢高徳氏は「国民にさらに厳しい対策を求めるのか、連休中より緩めるのか」と追及したが、西村氏は「知事と連携して必要な対策を講じる」と話すにとどめた。
 一連の対策で感染を抑え込み、期限の今月31日に宣言解除へとこぎ着けられるのか。東京の場合、新規感染者数は1日100人が目安との声が専門家から上がる中、政府コロナ対策分科会の尾身茂会長は7日の記者会見で「変異株の影響は極めて重要な要素。下げ止まったからと、すぐに解除すると必ずリバウンドが来る。今まで以上に慎重にやる必要がある」と語った。

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