都立高の募集、なぜ女子より男子が多いの? 都教委「中3の在籍割合が根拠」 保護者「時代に逆行」

2021年5月9日 06時00分
 「東京都立高校は、なぜ女子より男子を多く募集しているの?」。都立高を受験し合格した新宿区の女子生徒(15)と保護者(48)から、本紙に質問が届いた。都教育委員会に聞くと、都立高の全日制普通科は男女別で定員を設けており、都内の公立中3年の性別在籍割合に応じて募集人数を決めているという。ただ、全国的には男女別定員制そのものが少なく「男女別をやめるべきだ」との声も上がっている。(奥野斐)
 都教委によると、今年4月現在、都立高全日制170校のうち、普通科110校で男女別定員制を実施。都高等学校教育課の担当者は「私立校が多い東京では、進学を希望する公立中3年生全員を高校に受け入れるため、公私が協調して就学計画を立て募集定員を定めている。公立中3年では例年男子の割合が高く募集数も多くなる」と説明する。

◆公立中3男子は女子より3000人多い

 2020年度の都内の公立中学3年男子は女子よりも約3000人多い。
 一般財団法人東京私立中学高等学校協会の長塚篤夫副会長は「東京では女子教育を推進してきた経緯があり私立の女子中学高校が多い。高校進学段階では男子の方が在籍者数に対し進学先が少ない傾向がある」とも話す。
 そもそも、男女別に定員を定める必要はあるのか。都立高入試の検討委員会報告書(昨年8月発表)では、「男女別定員制は必要か」との問いに高校校長の82・7%、中学校長の58%が「どちらかといえば」も合わせて「必要」と回答。主な意見では「(男女別でなくなると)女子の合格者が多くなる傾向があり、男子が入学できる余地を残しておくためにも意味がある」「文武両道を目指す学校では(女子の入学者が多くなると)男子種目の縮小につながる」が上がった。

◆男女枠の撤廃に都教委「慎重に進める」

 男女枠の撤廃について、都教委の担当者は「課題だとの認識はあるが、急に変わると現場が混乱する。緩和策を活用するなど慎重に進めたい」と語った。
 緩和策とは、性別による合格最低点の格差を是正するため、都教委が1998年度入試から導入した。募集人数の9割を男女別で決定後、残る1割を性別に関係なく成績順に合格にする。今年2月の入試では42校が実施した。

緊張した雰囲気の中、試験開始を待つ受験生(本文とは関係ありません)

 東京私立中学高等学校協会も、男女別定員制について「私立への影響も大きく、現行の緩和策の活用など実態に即した対応をすべきだ」との姿勢を示す。

◆男女別合格最低点は「非開示」

 実際に男女でどの程度、高校の入りやすさに差があるのか。都立高入試での各学校の男女別合格最低点を情報開示請求したところ「非開示」だった。理由について、都教委は「合格点を明らかにすることで都立高校の順位付けが可能となり、受検(験)競争が助長されるため」などとした。
 本紙に疑問を寄せた保護者は「願書の性別欄をなくす動きも広がる中、性別で分ける都のやり方は時代に逆行している」と話したうえで「男女別定員制を望ましいと考えるなら、都は根拠を明文化し、考える出発点にしてほしい」と求めた。

   ◇

 「ニュースあなた発」は、東京新聞ホームページの専用フォームや無料通信アプリ「LINE(ライン)」から調査依頼をお寄せいただけます。西日本新聞の「あなたの特命取材班」などとも連携し、お互いの記事を交換しています。

PR情報

社会の新着

記事一覧