[遠い昔の記憶] 川崎市宮前区 林康子(51)

2021年5月9日 14時59分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修
[名探偵、万事休す!] 東京都中野区・会社員・61歳 松田健治

 屈(かが)みこんで被害者を検分していた探偵が立ち上がって言う。
 「実に由々しき事態だ。何せ被害者は、この小説の作者なのだから」
 「ええっ」
 山荘の広間に驚愕(きょうがく)の声が上がる。
 「問題は、作者が、犯人を告げる場面まで書き上げていたかどうかだ」
 「書き上げていなかったら?」
 「事件は迷宮入りだね」
 「あなたは名探偵でしょ。自力で解決できないんですか」
 「推理の材料が少な過ぎる」
 「あ、窓の外に誰かいる!」
 そこにいた人影がスッと消えた。
 「しまった。取り逃がした」
 「犯人ですか?」
 「いや、あれは読者さ。いよいよ万事休すだ」
 「どういう事です?」
 「わからないのか。ついに、我々(われわれ)は読者に逃げられてしまったのだ」

<評> 戦慄(せんりつ)の謎解きミステリー登場。この作品を読んで、一番に身の毛もよだつ思いを味わうのは、日夜、新たなトリック考案に頭を絞っている推理作家の面々かも…それにしても、いったい犯人は誰?

[手伝い] 富山市・小学生・11歳 下井涼輔

 ぼくは四年生から料理の手伝いをしています。
 日曜の夕食の手伝いなので、月に四回ほどです。
 おかず作りで感じたことが三つあります。
 その第一は楽しいことで、二つあります。一つは材料をいろんな形に切りそろえること。二つめは味見をしながら味付けをすることです。
 第二は、うれしいことです。「うまい! また作ってね」とほめられた時が最高です。
 第三は、感謝です。ぼくの家族は、じいちゃん、ばあちゃんをふくめて五人です。だから毎日五人分を作っているお母さんの大変さがよく分かり、ありがとうの気持ちがふくらみました。
 でも、ぼくの仕事は勉強なので、料理と同じくらい好きになるよう、がんばりたいです。

<評> 勉強は主に自分のためですが、お手伝いはみんなのため。たくさんのことを教わり、学ぶ大切な時間です。まして、家族が顔をそろえる夕食の支度ともなれば、全員の期待と感謝が作者に集まります。

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