公文書管理の専門家アーキビスト 政府内での活用策未定 森友問題など受け創設

2021年5月10日 06時00分
 森友学園問題での財務省の決裁文書改ざんなどを受け、創設された公文書管理の公的資格「認証アーキビスト」について、政府が中央省庁での活用策を決めていないことが分かった。公文書管理法は2011年4月の施行から10年を迎えたが、文書管理の不正防止に向けた政府・与党の法改正の動きは停滞している。(後藤孝好)
 アーキビストは、公文書の適正な管理や保存、利用に関する知識を国立公文書館の研修などで学んだ専門職。20年度に募集を開始し、今年1月に190人が初めて任命された。各地の公文書館や資料館での勤務者が大半を占める。
 政府は公文書管理を担当する自治体職員や、関連知識を学ぶ大学院生らを想定し検討中の「准アーキビスト」を含め、26年までに約1000人を認証する方針だ。
 しかし、政府内でアーキビストの活用計画や指針は作られていない。内閣府公文書管理課の担当者は「専門人材を各役所にどう配置していくかなどは今後の検討課題。まだ何も決まっていない」という。
 役所への配置を伴わない形での活用の動きはある。法務省は2月、裁判の判決確定後も廃棄せずに保管する重要な「刑事参考記録」を指定する手続きに、アーキビストを関与させる方針を決めた。
 かつて公文書管理担当相だった上川陽子法相は記者会見で「公文書の保存・管理が歴史の評価に耐えるものとなるためには、アーキビスト等の専門家が歴史的重要性の観点からしっかりと評価を行い、大事なものは確実に残していくことが重要」と語った。
 公文書管理を巡っては、森友問題で自殺に追い込まれた財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=が決裁文書改ざんの過程をまとめた文書「赤木ファイル」の存在を、国が今月6日に認めるまで1年以上もかかるなど、不適切な対応が相次ぐ。
 立憲民主党など野党は改ざん禁止の徹底や電子決裁の義務化を盛り込んだ公文書管理法改正案を18年5月に提出。問題発覚当時の安倍晋三首相や菅義偉官房長官らは当初、法改正に前向きな考えを表明していたが、その後は具体化していない。

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