SNH48動員、建物を色分け…ワクチン接種させたい中国、国民は「もう収束」「副反応不安」

2021年5月11日 06時00分
 【上海=白山泉、北京=坪井千隼】新型コロナウイルスを巡る「ワクチン外交」を展開する中国だが、国内のワクチン接種に苦心している。国内の新規感染がほとんどなく接種するメリットを感じない人が多い上に、副反応への根強い不安があるためだ。各地域ではあの手この手でワクチン接種を促している。

◆情報公開不十分のツケ

 中国の5月8日までのワクチン接種回数は約3億2000万回(人数は非公表)。中国当局は「6~7割の接種率で全国民を守ることができる」と目標を示しており、専門家は「集団免疫獲得には計10億人以上が接種する必要がある」と指摘する。ただ、「国内は感染が収束しているし、海外にも行けないから、今打つ意味がない」という人も多く、副反応に関する情報公開が不十分なことも信頼が高まらない要因となっている。

4月27日、上海市内で「ワクチンを接種し、ともに免疫による万里の長城を築こう」と書かれた横断幕=いずれも白山泉撮影

 英オックスフォード大の研究者らが作るデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」などの10日時点の集計によると、国・地域別の人口100人当たりの累計接種回数は中国が22.7回。3.5回の日本を上回るが、80回近い英米などとは大きな差がある。
 こうした中、上海市各地の住宅街では、ワクチンを打った人に牛乳や食用油、洗剤などを贈る促進策を展開した。中国メディアによると、上海のアイドル「SNH48」のメンバーが接種者にスタンプを押してくれる地区もある。労働節の連休前には、5つ星ホテルの宿泊券がもらえるとのデマが流れ、地元政府が否定する一幕もあった。

◆強硬策も空振り

 政府機関が集まる首都北京のアプローチは異なる。
 「この建物の住民の接種率は40%未満です」。北京市中心部のある地区では、住宅の壁に赤色の通知が張り出されていた。40%未満は赤、40~80%が黄、80%以上が緑と3色に色分けし、住人が接種に協力的かどうか一目瞭然になる仕組みだ。接種する予定の40代男性は、「接種はあくまで個人の自由。ここまでしなくてもいいのに」と語った。

4月30日、北京中心部の住宅街で、住民のワクチン接4040%未満と示す赤いラベルが張り出された建物

 一方、海南省万寧市の地元政府は3月、ワクチン未接種の住民に対し、公共交通やスーパー、ホテルなどの利用を禁じ、「仕事や進学にも影響がでる」と脅しともとれる通知を出したが、ネット上に不満の声が相次ぎ、間もなく撤回している。

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