<11日に考えた>240年前の浅間山大噴火 「天明泥流」のすさまじさ やんばミュージアム 災害の記憶、次世代に

2021年5月11日 07時53分

映像で噴火や泥流のすさまじさを伝えるシアター=いずれも長野原町のやんば天明泥流ミュージアムで

 約二百四十年前の浅間山大噴火で発生した「天明泥流」をテーマにした「やんば天明泥流ミュージアム」が今春、長野原町林にオープンした。八ッ場(やんば)ダム建設に伴う発掘調査により、泥流にのみ込まれた集落から見つかった出土品を展示。シアターでは、甚大な被害を及ぼした災害のすさまじさをリアルに伝えている。 (安永陽祐)
 天明泥流は一七八三(天明三)年に発生。同年の五月に始まった噴火は七月後半になると激しさを増し、八月四〜五日に大爆発した。五日には、浅間山北麓で土石雪崩が発生し、泥流となって吾妻川を流れ下った。吾妻川や利根川沿いに広域的な被害が出た。死者は千五百二十三人、被害家屋は二千六十五戸に上ったとされる。遺体は現在の東京湾や千葉県の銚子まで流れ着いたという。
 県埋蔵文化財調査事業団と町教育委員会は、二〇一九年までの二十六年間、吾妻川沿いのダムの水没地域などを発掘調査。調査面積は約百万平方メートルに及び、のみ込まれた集落が広範囲で発見された。
 一帯は浅間山から約二十キロ離れていたが、約三メートルの泥流が堆積。水分が多く含まれていたため「真空パック」のようになり、保存状態が良い出土品が多数見つかった。泥流で押し倒され、埋もれた家屋などからは子どもを含む三人分の遺骨も見つかった。
 ミュージアムには展示室やシアターなどがあり、資料約五百点を展示。展示室には、家屋の一部やおけに残った梅干しの種、線香が燃え残った香炉、たばこを詰めたままのきせる、土間に残ったげたや草履など噴火直前の生活の様子を物語る出土品が並ぶ。

出土した生活用品が並ぶ展示

 シアターでは、浅間山の噴火や集落を襲った泥流を再現した臨場感あふれる映像を、迫力のある音響や照明を使って上映。津波のように押し寄せる泥流の怖さを体感できる。
 展示では、当時の人々が古文書や絵図などで災害を伝えてきた歴史にも触れている。古沢勝幸館長は「災害は月日がたてば人々の記憶から薄れてしまう。ここで起こったことを次の世代に伝えていくのが私たちの役割」と強調する。
 津波で多くの犠牲者を出した東日本大震災から十年という節目の年の開館に「災害は毎年のように各地で起きている。自然災害とどう向き合って生きていくか、考えてほしい」と呼び掛ける。
 入館料は一般六百円、小中学生四百円。原則水曜休館。問い合わせは同館=電0279(82)5150=へ。

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