視覚障害者が死亡の駅、点字ブロックの配置が混乱を招く? 「当事者の意見を聞いて改善を」福祉団体が東武鉄道に要望

2021年5月12日 06時00分
 東武東上線下赤塚駅(東京都板橋区)で今年1月、視覚障害がある60代男性が準急電車にはねられて死亡したことが、警視庁高島平署などへの取材で分かった。詳しい原因は分かっていない。沿線の視覚障害者団体は4月、ホームの点字ブロックの敷き方が分かりにくいなどとして、改善を求める要望書を東武鉄道に提出した。(中村真暁)
 同署や東武鉄道などによると、男性は1月28日午前9時15分ごろ、下り線(川越方面)ホームの端にいた際、電車にはねられた。男性はマッサージ師で、通勤途中だった。当時は白杖を使っていなかったが、傘を入れるような袋に白杖を入れて持ち歩いていたという。ホームドアは設置されていなかった。

◆狭い間隔で2列敷設は珍しい「混乱したか」

 下赤塚駅には、平行する2列のブロックが近接した状態で敷かれていた。同駅の下り線ホームを見た東京都盲人福祉協会常任理事の市原寛一さん(54)は「これでは混乱してしまう」と表情を曇らせた。市原さんは国土交通省の視覚障害者の安全対策検討会の委員も務める。
 同駅下り線ホームは、ホームの内側を示す直線状の突起がある「内方線付き点状ブロック」の列と、改札外の案内図からトイレなどをつなぐ「線状ブロック」の列が、約40センチの間隔でホームの3分の1ほどに当たる約70メートルの区間、平行して敷設されている。

近接したまま二列に平行して敷かれている下赤塚駅の点字ブロック=東京都板橋区で(東武鉄道提供)

 市原さんによると、2列のブロックがこれほど長く、狭い間隔で敷設してあるのは珍しいという。また、2列のうち、ホーム末端まで続くのは内方線付き点状ブロックのみのため、視覚障害者にとってはホームのどこを歩いているかが分かりにくく「亡くなった男性は歩く方向が分からなくなり、迷ったのではないか」と推測した。
 国交省によると、ブロックが並列する場合の間隔に決まりはない。市原さんは、間隔が狭すぎると乗車時にブロックをまたいでしまい、2種類のブロックに気付かない可能性があるとも指摘。並列する場合でも、ホームによって間隔が異なると混乱する原因にもなり、「長距離にわたって平行して敷設しないとか、敷設する場合は一定の距離を取るなどの決まりが必要ではないか」と指摘した。

◆ホームドアの設置も速やかに

 要望書では、ホームドアやブロックを設置する際に、当事者の要望を取り入れることや、ホームドアの速やかな設置を実現することなどを求めた。
 板橋区視覚障害者福祉協会の佐々木宗雅会長(71)は要望書の提出後、「初めての駅利用者にとっては、2列にブロックが敷かれている意味が特に分かりにくい。鉄道会社には、そうした状況を周知するなどしてほしい」と求めた。
 東武鉄道によると、ブロック同士の間隔が狭いのは、同ホームの幅員が狭いためという。担当者は「国の指針通りに設置し、ホームの端を歩かなくていいようにしている」と説明した。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧