「国民のわずか2%の申請で…」容量オーバー マイナンバー関連事業、頼みの大手でシステム障害多発

2021年5月12日 06時00分
 地方公共団体情報システム機構(J―LIS)が「事故を起こさないようにするために」とマイナンバー関連事業で随意契約を繰り返していた大手IT事業者。その頼みの綱である事業者が納品した中核システムで障害が多発していたことになる。(デジタル政策取材班)
 今回発覚した9件の中で最も大きかったのはマイナンバー制度が始まった2016年1~3月に発生した障害だ。
 機構の発表や会計検査院の報告書によると、マイナンバーカードを交付する市区町村とカードを管理する中核システムがつながらなくなる状態が53回起き、住民にカードを交付できなくなった。原因究明にも時間がかかり障害は3カ月に及んだ。
 機構は中核システムを受注した企業に、その後も随契で数多くの業務を発注している。理由として「他の業者だと障害が発生しても復旧に時間がかかる恐れがある」と説明していた。
 制度は開始早々つまずくことになり、参院決算委員会は「多額の費用を投じて整備したにもかかわらず(中略)国民の信頼を損ねている」として、内閣に警告を決議した。
 20年5月には新型コロナウイルスの経済対策として国民1人に10万円を配る特別定額給付金のオンライン申請のために、マイナンバーカードの電子証明書の発行や更新が急増、中核システムの処理能力を超え遅れが生じた。オンライン申請はマイナンバーカードを所有する世帯主が世帯ごとに申請する仕組みだったためだ。
 政府は迅速な支給を目指して、オンライン申請を推奨したが、かえって支給の遅れにつながる一因になった。
 20年6月の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏は給付金のオンライン申請は約200万件だったことを挙げ「全国民が使うことを前提として、システムを巨額の税金を使って構築して、遅延が起きた」と指摘。その上で「国民のわずか2%の申請で障害が出た」とシステムのひ弱さを批判した。
 当時の高市早苗総務相は原因を「システム容量の問題」と釈明した。

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