個人情報の悪用は本当に心配いらないの? 懸念拭えぬまま…デジタル法案成立へ

2021年5月12日 11時30分
 デジタル庁設置を柱とするデジタル改革関連5法案が11日、参院内閣委員会で与党などの賛成多数で可決された。参院総務委員会で審議されていた地方公共団体情報システム標準化法案も可決された。計6法案は12日の本会議で可決、成立する見通し。審議では法案に含まれる個人情報保護法改正案が大きな焦点になったが、本人の同意なしでの個人情報の利活用や、行政機関への監督の実効性などへの懸念を拭い去ることはできなかった。 (井上峻輔)
 内閣委では、立憲民主党がデジタル庁設置法案など2法案に賛成し、個人情報保護法改正案を含むデジタル社会形成関係整備法案など3法案に反対。共産党は5法案全てに反対した。総務委では、共産党のみ反対した。
 個人情報保護法改正案は民間や行政機関、各地方自治体でばらばらだった個人情報保護制度を同法に統一する。民間を対象にしていた政府の個人情報保護委員会は、国の行政機関や自治体も監督することになる。
 内閣委の討論で、立民の小沼巧氏は所管や権限が大幅に拡大する保護委員会について「体制強化の中身はついぞ語られなかった」と指摘。「個人情報が利便性の美名に隠れて、知らないところで悪用されないか。現状ではリスクを管理できない」と懸念を示した。
 共産党の田村智子氏は国の行政機関が持つ個人情報を匿名加工して民間提供する制度を問題視。審議で米軍基地訴訟の原告名簿などを提供対象にした事例が議論されたことなどを踏まえて、改正で制度を自治体にも広げることを「やめるべきだ」と訴えた。
 菅義偉首相は内閣委の採決前に行われた質疑で「法案は個人情報の一元管理を図るものではなく、国や自治体でそれぞれの個人情報を保有することを前提に、システムやルールを標準化・共通化してデータも利活用しようとするものだ」と答弁し、国民の不安の解消に努める考えを強調した。
 法案の可決後、行政機関が個人情報を目的外に使う際の要件を厳格に認定することや、個人情報保護委員会の体制強化などを政府に求める付帯決議が可決された。
 参院での審議時間は、提案説明や討論・採決を除くと約25時間。衆院の審議時間は27時間で、一部野党などから「拙速」と批判が出ていた。

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