中学生にブログでヘイトスピーチ、損害賠償130万円 東京高裁「人種差別」

2021年5月12日 22時00分
記者会見する原告の中根寧生さん(右)ら=12日、東京・霞が関の司法記者クラブで

記者会見する原告の中根寧生さん(右)ら=12日、東京・霞が関の司法記者クラブで

 在日コリアンであることを理由に差別記事をネットに投稿されたとして、当時川崎市の中学生だった中根寧生さん(18)が大分市の男性に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が12日、東京高裁であった。同高裁は一審に続き「人種差別に当たり、人格権の違法な侵害」と認め、慰謝料など130万円の支払いを命じた。
 中根さんは、4月から大学生になったのを機に、裁判と氏名を公表した。判決後の会見で「差別を裁判で説明することは、胸が締め付けられるようでしんどかった。裁判しなくても被害者が救済される制度を求めたい」と打ち明けた。
 日本に差別を包括的に禁じる法律がない問題は続くが、代理人弁護士は「人種差別そのものが違法であることが、一審に続き高裁でも明確に認められた。1回の書き込みに対する賠償額としては多額で、画期的な判決」と評価した。
 判決などによると、大分市の男性は「写楽」の名で開設したブログで2018年1月、音楽イベントで自らのルーツに触れた当時中学生の中根さんを取り上げた新聞社のネット記事を引用。「悪性外来寄生生物種」「チョーセン・ヒトモドキ」などと、中傷する記事を投稿した。刑事事件としては同年12月、川崎簡裁が侮辱罪で男性に科料9000円の略式命令を出した。
 昨年5月の横浜地裁川崎支部判決でも、人種差別や平穏に生活する権利などの侵害は認めたが、中根さん側は名誉毀損の認定も求めて控訴した。東京高裁は「一般の読み方からすれば、事実と解されない」としてこの訴えは退けたが、中学生という多感な時期に受けた精神的苦痛や「読者の差別的言動をあおり、個人の尊厳や人格を損なうもので極めて悪質」として、慰謝料の額は増額した。
 中根さんは「僕の裁判が抑止力となり、匿名の卑怯な差別をなくす一歩につながればうれしい」と言葉に力を込めた。(安藤恭子)

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