筋トレで「運転寿命」↑ 愛車を利用、手軽に運動 トレーナー中野さん「生活の質の維持につながる」

2021年5月13日 07時45分

自家用車で行うストレッチを紹介する中野ジェームズ修一さん=東京都内で

 高齢ドライバーの重大事故が相次ぎ、運転免許を返納する人が増えている。だが、運転をやめると家に閉じこもりがちになり、体力低下や認知症のリスクが高まるとされる。年を重ねても安全に運転できる「運転寿命」を延ばすにはどうしたらいいのか。愛車や自宅で手軽にできる体操を考案したフィジカルトレーナーに指南してもらった。 (五十住和樹)

■安定操作の継続へ

 都内の駐車場にトレーニングウエア姿で現れたのは一般社団法人フィジカルトレーナー協会の代表理事を務める中野ジェームズ修一さん(49)。
 まず、運転席に横座りして両脚を上げるレッグレイズ=写真<1>。左手でハンドル、右手でシートをつかんで体を支え、体を起こして安定させる。ゆっくり脚を上げ、一秒くらい止めるのがポイントだ。太ももなどの筋肉を鍛え、転倒防止や安定したアクセル、ブレーキ操作に役立つ。「長時間運転して足が疲れたと思ったら試してみて。むくみの予防にもなります」

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 続いて、片脚をサイドステップにかけて行う昇降運動、ステップリフト=同<2>。ドアとルーフに手をかけ滑らないように気を付ける。太ももとお尻の筋肉を鍛えて持久力を付ける。

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 筋トレ後はストレッチで柔軟性を上げたい。車高が低い乗用車なら、左手をルーフに置いて右手で足の甲をつかむ。右膝を後ろにそらし、太ももの筋肉を伸ばす=同<3>。逆の脚も忘れずに。「脚の筋肉が硬くなると、膝の曲げ伸ばしがしにくくなって脚をひきずることになります」

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■技能向上に効果

 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の島田裕之老年学・社会科学研究センター長(50)らは、十年ほど前から県内約三万六千人の高齢者を対象に、運転と要介護などの関係を研究してきた。
 運転をやめた人と続けている人を二年間追跡すると、やめた人が要介護状態になるリスクは七・八倍に達した。また、約三年半の追跡で、運転継続の人は認知症のリスクが約四割減ることも分かった。
 島田さんらは二〇一九年四月、「運転寿命延伸プロジェクト」を立ち上げ。ドライブシミュレーターや動体視力を鍛えるトレーニングなど三種類の安全運転プログラムを開発した。
 軽度認知障害(MCI)の高齢者百六十人を対象に、このプログラムを週に一回で計二十回受けた人と座学の安全運転講習だけの人に分け、自動車教習所指導教官による運転テストを実施。その結果、プログラムを受けた後の運転技能は講習だけの人より明らかに向上し、その効果は少なくとも一年続いた。今後も効果の検証を続ける。

■父を見て考案

 フィジカルトレーナーとは「体に合わせた筋トレ、ストレッチ、有酸素運動、準備運動を『処方』する専門家」。中野さんがこの体操を考えたきっかけは、実家の長野市で暮らす八十三歳の父親が、車で家族の送り迎えをすることで頼られているのを見て「運動で運転寿命を延ばせたら、健康や生活の質の維持につながる」と思ったからという。
 室内でできる体操を含め、今年一月に「中野ジェームズ修一の『運転寿命』をのばすドライバー体操」(主婦の友社)を出版。「多くの人が免許返納までの日を少しでも延ばせるようにしてほしい」と話した。

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