フードバンク 善意広がる 名古屋のNPOが大学と提携 コロナ禍で収入減の学生に届ける

2021年5月13日 08時06分

セカンドハーベスト名古屋のスタッフから食料を受け取る学生たち=愛知県美浜町で

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が東京や愛知など6都府県に出される中、生活に困っている人に食品を無償で提供する「フードバンク」の需要が高まっている。フードバンクと大学が提携し、バイト先の休業などで収入が減った学生らに毎月食料を届けたり、スーパーが食品などの寄付を募るポストを設置したりと支援の形も進化してきた。 (細川暁子)
 米やパン、レトルトのカレー、即席みそ汁、菓子…。愛知県美浜町の日本福祉大で先月下旬、テーブルにずらりと並んだ無償提供の食品を手に取りながら、同大三年の永田太一さん(20)は「ありがたい」とつぶやいた。
 永田さんは、コロナ禍でバイト先が時短営業となり、収入が月三万円ほど減少。節約のため、普段は菓子は買わないようにしているという。だが、NPO法人「セカンドハーベスト名古屋」(名古屋市)のスタッフが車で運んできた約百キロ分の食品の中には、バレンタインやホワイトデーの余り物とみられるチョコレートやクッキーなどもたくさん。「種類が豊富でうれしい」と喜んだ。
 この日は、同法人が同大と提携して始めた食料支援の初回。一月二十一日付の本紙生活面で、コロナ禍で生活苦に陥った児童養護施設出身で同大四年の滝沢ジェロムさん(21)を取り上げた記事がきっかけだった。記事を読んだ同法人理事の松岡篤史さん(66)が、滝沢さんに会員制交流サイト(SNS)で「何かできることはないか」と連絡。滝沢さんが大学側に相談したところ、毎月一回、児童養護施設や里親家庭で育った学生らに食品を配ることになった。対象となる学生は約三十人で、うち約十人が援助を希望したという。
 同法人は二〇〇八年に設立。企業や個人から余っている食品を受け付け、行政や社会福祉協議会などからの情報を基に、生活に困っている家庭に届けている。支援した世帯数は一九年度は五千世帯だったが、二〇年度は七千世帯に増加。これまでも児童養護施設などに食料を提供してきたが、大学と提携して食料支援を行うのは初めてという。松岡さんは「貧困が幅広い年代で広がっていることを実感する」と話す。

◆滋賀ではスーパーにポスト設置

 食品を集める工夫も。滋賀県彦根市では、昨年六月からスーパーに食品や日用品などの寄付を受け付ける「フードバンクポスト」=写真=が設置されている。
 同市内のスーパー「パリヤ」が「食品ロス削減や困窮家庭の食料支援に貢献したい」と、市社会福祉協議会を通じて「フードバンクひこね」に声をかけたことがきっかけ。透明の衣装ケースで作ったポストを常設し、買い物客らが自宅から持ち寄った缶詰やインスタント食品、洗剤などをいつでも入れられるようにしている。中には、店で買った品物をそのまま寄付する人もいるという。
 昨年九月から他のスーパーも賛同し、現在は市内五店舗にポストを設置。月に四十箱以上の食品や雑貨が集まり、生活困窮者や子ども食堂などに配布している。
 フードバンクひこね共同代表の森恵生さん(43)は「市民の善意も広がっている」と話す。

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