<新型コロナ>PCR検査時に変異株8種類を判別する方法開発 名城大教授「1時間半で特定可能」

2021年5月13日 10時45分
 新型コロナウイルスに感染したかどうかを調べるPCR検査装置で変異株の種類まで判別できる技術を、名城大(名古屋市)の神野透人教授(衛生化学)らが開発し、12日発表した。検査に使う試薬を変えたところ、ほぼ完全に判別できたと説明。1週間ほどかけている判別が1時間半程度で可能という。法令上、行政機関の検査ですぐに使うことはできないが、神野教授は「対策に効果的だ」と話している。 (出口有紀)
 判別できるのは、感染力が従来より約1・3倍強いとされる英国株のほか、インドで猛威を振るう株、米国カリフォルニア州などで流行する株、南アフリカ株やブラジル株、ワクチンの効き目だけを弱めるとされる変異株など8種類。国内でも従来株から変異株に置き換わりつつある。
 PCR検査では、綿棒で鼻の粘膜などを取り出し、新型コロナウイルスの遺伝子が含まれているかどうかを調べる。検査装置で遺伝子を増やし、蛍光試薬を加えて加熱。光が強くなれば陽性と判定している。
 だが、陽性と分かっても、変異株の種類までは判別できない。種類を特定するため検体を国立感染症研究所(東京)へ送り、感染研が全遺伝情報を解析。判別に1週間ほどかけている。

新型コロナウイルス変異株の判別方法について説明する神野透人教授=名古屋市の名城大で

 神野教授は薬学部の実習で、名古屋コーチンなど鶏肉の銘柄を、遺伝子の配列の違いから見分ける解析法を教えている。「同じニワトリでも遺伝子の配列が違うので銘柄の違いが分かる。新型コロナウイルス(の従来株と変異株)も同様」と考えた。
 この解析法で使う蛍光試薬は、PCR検査で使う試薬とは違い、加熱時に光が強くなった後、弱くなる時の温度で遺伝子配列の違いを精密に区別できる。新型コロナの変異株で試しても、種類によって光が弱くなる温度が異なることが分かった。
 神野教授らは4月上旬から、愛知県衛生研究所で新型コロナの200検体以上を使って実験を重ね、光が弱くなる温度の違いで、それぞれの変異株をほぼ正確に判別できたという。PCR検査装置は都道府県の研究機関などにあり、検体を感染研に送らなくても1時間半程度で判別できるとしている。
 一方で、行政機関が担う新型コロナのPCR検査は、感染症法で手法や試薬が厳密に定められており、今回の技術をすぐに導入できるわけではない。神野教授は「簡便な方法でも応用できない体系になっており壁は厚い。だが、変異株の素早い特定が正確な感染経路の把握やクラスター(感染者集団)対策につながる。感染拡大の局面で使ってほしい」と説明した。

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