高齢者のワクチン接種「7月完了」に躍起の政府 自治体へ働き掛け強める

2021年5月13日 19時43分
 新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種を巡り、政府は目標とする7月中の完了に向け、計画を前倒しするよう自治体に働き掛けを強めている。全市区町村の86%に当たる1490自治体が7月末までに完了する見込みと回答したが、医師の確保などを前提条件にした「決意表明」にすぎない。遅れが目立つ自治体には総務省が首長に直接連絡し、相談に乗る体制も整備して接種ペースを上げる構えだ。(大野暢子)

 菅義偉首相は13日、接種を7月末までに完了できない自治体が14%に上るとの調査結果について「ショックだった」と記者団に述べ、関係する地域選出の国会議員に協力を呼び掛けたと説明した。
 首相は7日の記者会見で、7月末で接種が終わるのは1741自治体のうち「約1000」と指摘。政府は5月に再調査し、1490自治体が7月末までに完了する見込みとなった。

◆医師確保の保証ない「決意表明」

 政府が4月末に自治体ごとのワクチン供給スケジュールを示したことなどを受けて増加したとみられるが、医師や看護師らの確保を前提に回答した自治体も含まれる。現時点で医療従事者を十分に確保できる保証はなく、総務省の担当者は「100パーセント、この通りに進むということではない。自治体の決意表明だ」と話す。
 立憲民主党の泉健太政調会長は13日の記者会見で「不確定な前提に基づいたデータを公表するべきではない」と批判。衆院総務委員会では、野党議員から「政府に忖度そんたくして完了時期を前倒した自治体もあるのでは」との指摘も出た。

◆総務省幹部から市長に繰り返し電話

 首都圏のある市長は4月下旬、総務省幹部から電話を受けて「7月に終わらせるにはどんな手伝いができるか」と繰り返し聞かれたという。医療従事者の確保が見通せず、8月以降と回答した市長は「『7月中にできる』と言わせたい様子だった。達成できなければ、自治体のせいにするつもりかもしれない」と憤る。同様の照会を厚生労働省から受けた首都圏の町長は「数字だけでも接種が進むように見せたくて、圧力をかけているのでは」と語った。

関連キーワード

PR情報

政治の新着

記事一覧