英国変異株の猛威で人出は減っても感染減らず 次はインド株流入の懸念

2021年5月14日 06時00分
 新型コロナウイルス対策で、東京都などに緊急事態宣言が出て2週間以上が過ぎたが、新規感染者の減少傾向は見られない。東京では人の流れは減っているが、感染力の高い変異株がまん延し、流行を抑えられていない。一方、政府は英国などから変異株の流入を許した失敗を踏まえ、新たな脅威とするインド株の封じ込めを目指し、14日から、インド、ネパール、パキスタンで2週間以内の滞在歴がある外国人の入国を原則拒否する。(沢田千秋、藤川大樹)

◆早めの一手も効果は薄く

 「今回、早めに宣言を出したのに、なかなか(新規感染者数が)下がらない。思ったほど効果は出ていない」。12日、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合終了後、メンバーの1人がぼやいた。
 東京都に緊急事態宣言が出たのは先月25日。酒類提供の自粛や大型施設の休業要請などが奏功し、繁華街の滞留人口は昼夜とも大幅に減り、1月の宣言時の最低値より25%も少なくなった。だが、1人が何人に感染させるかをみる実効再生産数は「1」を切らず、新規感染者が減らない。
 原因とされるのは「N501Y」変異がある英国株とブラジル株、南アフリカ株だ。国立感染症研究所は「全国的にほぼ例外なく、90%以上がN501Y変異を有するウイルスに置き換わった」と分析する。

◆高齢者以外でも重症化のリスク

 感染研の鈴木基・感染症疫学センター長によると、N501Y変異株の感染力は従来株の1・3~1・5倍。専門家組織の会合では、職場や学校で感染が広がっているという資料が示され、あるメンバーは「酒を飲まなくても、職場の昼食時に油断し、感染が広がっているのでは」と警戒感を示した。
 鈴木氏の分析では「N501Yは重篤な肺炎や多臓器不全、急性呼吸窮迫症候群など重症化リスクが従来株の1・4倍。特に40~50代の重症化リスクが他の世代に比べても高い」。
 厚労省によると、最近は新規感染者数が全国で約7000人ほど。第3波ピークの7800人に達していないのに、重症者数は約1200人で連日、過去最多を更新する。
 「大阪はもう医療崩壊で命の選別が行われているような状況。東京を大阪みたいにしたら大変だ」。あるメンバーはそう訴える。

◆インド株は新たな脅威か

 今後はインド株対策も急務だ。インド株は検疫で66人の感染が判明。厚労省によると、4月25日からの1週間で、インドからの入国者の5・8%が検査で陽性だった。国内でも4人が感染しており、感染研はインド株を最も警戒が必要なVOC(懸念すべき変異株)に格上げした。
 英国では、インド株の感染力が英国株と同程度との研究結果が示され、英国株からインド株への置き換わりが起きているという。日本は昨年末、英国株の流入を許し、感染拡大を招いた教訓がある。専門家組織メンバーの釜萢敏・日本医師会常任理事は「インド株の実態が分からず、英国からのリポートは非常に不気味。水際対策を何としても強化しなければ入ってくる。英国株ほどの広がりにならないで済む可能性は、まだある」と指摘している。

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