首都圏知事、「五輪選手に優先医療」に否定的発言が相次ぐ 病床逼迫の恐れに配慮

2021年5月14日 06時00分
 東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス感染症対策を巡り、選手や大会関係者が感染した場合に医療機関での専用病床など優先的な対応をすることに否定的な発言が、首都圏の知事から相次いでいる。変異株の流行拡大により、各地の病床が逼迫する恐れがあることが原因だ。来日する選手らの不安要因となる可能性もある。(原田遼、中谷秀樹、岡本太、臼井康兆)

◆千葉県知事、五輪関係者の専用病床「考えていない」

 大会組織委員会は、けがや病気になった選手を受け入れる「大会指定病院」を、競技会場のある都道県に約30カ所設ける方針。コロナ患者が出た場合、まず指定病院に依頼し、無理な場合は他の病院での対応を都道県に依頼する構想だ。
 サーフィンなど8競技を開催する千葉県の開催準備課によると、4月ごろ、県内の2つの病院に対し、指定病院となるよう組織委から打診があった。しかし両病院は大会優先の対応を断り、一般患者と同様の対応であれば検討するという。
 熊谷俊人知事は13日の定例会見で「五輪関係者のために、県民が使えない形で貴重なコロナ用病床を確保・占有することは、考えていない」と述べた。

◆神奈川と茨城の知事も五輪関係者優先を否定

 首都圏では11日以降、神奈川県の黒岩祐治知事、茨城県の大井川和彦知事も同様の考えを表明している。
 埼玉県オリンピック・パラリンピック課は取材に「県民と同じ扱いで考えている」と説明。また東京都大会準備局は「実際に何床確保する必要があるのか、どういう状態で待機しておくのかなど、今後調整することになる」と話す。
 都と国際オリンピック委員会(IOC)が結んだ「開催都市契約」には、地元の医療に負荷をかけないことを前提に、地元と大会関連の患者に適切なレベルの治療を確保する、との条項がある。
 組織委の武藤敏郎事務総長は13日「あらかじめ病床を空けてほしいというお願いをしているわけではない。大会に関係なく(地域全体の)コロナ病床の拡充をお願いしている」と強調した。
 コロナ対策を巡っては、IOCが提供するワクチンを選手が優先接種することについても議論がある。

◆専門家「事前に選手の病床確保の必要性低い」

 大阪体育大学の原田宗彦学長(スポーツマネジメント)は「ワクチン同様、選手優先の入院に批判が起きるのは当然だ」としつつ、「選手は年齢が若く基本的に健康で、厳重な感染対策もなされる。コロナが重症化する人が大勢出るとは想定しにくく、事前に病床を確保する必要性は低いのではないか」と話す。
 一方、勤務医が加入する全国医師ユニオンの植山直人代表は「選手を優先することになると(医療は)統制がとれなくなる。選手らが批判を受けることになり、決してやるべきではない。感染拡大の危険性を持つ五輪を開催することに強く反対する」

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