金町民は松戸がお好き!? 塾も趣味も買い物も…「リトル千葉」

2021年5月14日 07時02分

JR金町駅前の様子

 東京の東北端・葛飾区金町の人たちは、買い物も習い事も、隣の千葉県松戸市へ向かう。JR金町駅周辺には千葉銀行。朝チェックするのは千葉テレビの天気予報…。「生まれも育ちも葛飾金町」の記者には身に覚えがありすぎる話。都民なのに実は松戸市民な金町住民の実情を調べてみた。
 葛飾区の形は尾ひれをひらひらさせた金魚に見える。この尾ひれの付け根のあたりに金町はある。最近では再開発が進み、立派なタワマンが立ち並ぶようになったが、「城下」には下町らしい個人商店や閑静な住宅地が広がっている。
 江戸川を挟み、尾ひれと隣接するのが松戸市。常磐線でわずか四分。金町から九分かかる足立区北千住より近い都会だ。
 金町は想像以上に「リトル千葉」だ。金町駅の改札を抜けて早々、自由通路の頭上には「松戸テニスクラブ」の看板が光る。記者も小学校時代、通っていた。

金町駅改札を出ると、頭上には松戸テニスクラブの看板

 駅前の国道6号沿いには千葉銀行金町支店が鎮座する。大手三行の支店はない。

大手3行が出張所のみとなる中、金町駅前に堂々と支店を構える千葉銀行

 習い事や塾も松戸へ。松戸駅前は教育機関が充実し、市進、日能研、サピックスなど中学受験塾が集まる。約二十年前、記者が通学していた区立金町小のクラスメートの大部分が松戸の塾に通っていた。
 聖徳大学のキャンパスもある。大学は地元住民らを対象にしたスクールを開催していて、記者の母も参加していた。同大生涯学習課によると、コロナ前は、年間のべ一万人超が通学し、都民が10%強。その大部分を葛飾区民が占め、担当者は「金町・東金町からの通学者は一定数いる」と話す。
 金町駅周辺で住民に話を聞いた。医療事務の近藤ゆりかさん(31)は「金町にないものが松戸にある」。長男(1つ)を連れて松戸へ行き、駅前のハードオフやGUで衣類を購入する。「北千住に比べて適度に空いているから親子連れでも行きやすい」。医療事務の資格も松戸で取得した。
 介護施設職員の豊倉志保里さん(31)は「友人とご飯に行くなら北千住だけど、家族や一人なら断然松戸。北千住に行くのは少し気を使う」と話す。実家は建設会社を経営しており、伊勢丹松戸店を愛していた。「母は『お中元ののし紙は、金町のスーパーより松戸の伊勢丹』と言っていた。だから伊勢丹の閉店を悲しんでいた」と振り返る。
 金町住民が「お出かけ」を楽しんでいた伊勢丹松戸店は二〇一八年三月、四十三年の歴史に幕を閉じた。松戸市民と同様に、金町住民は閉店を悲しんだ。今でも惜しむ声は聞かれる。千葉銀金町支店から出てきた主婦(77)は「デパ地下のお総菜やちょっとした日用品を買うのが楽しみだった」。閉店を機に松戸には行かなくなり、今はもっぱら千葉県柏市のデパートへ。「北千住は行かない」そうだ。

学習塾「サピックス」などが並ぶ千葉県の松戸駅前。突き当たりの商業施設「キテミテマツド」は以前、金町住民が愛した伊勢丹松戸店だった

 会社員の佐藤利恵さん(56)は青春時代を松戸で過ごした。ジーンズショップで買い物し、純喫茶で大きな器のクリームソーダを味わったという。「北千住も柏も栄えていなかったころ、松戸には映画館やおしゃれな駅ビルもあって輝いてみえた」という。しかし、最近はルミネやマルイがある北千住に行くことも増えた。「松戸にしかないものがあれば、また行きたくなるかも」
 松戸市民からも心配する声があがる。松戸駅近くで働く男性会社員(54)は「伊勢丹の閉店は、金町の人にとって、松戸に来る楽しみが減ってしまったんじゃないかな」と気をもむ。
 今年三月、金町駅のみどりの窓口が閉鎖された。ポスターには、代替場所として北千住駅より前に松戸駅が書かれている。金町住民はどちらを使う?

3月で営業終了した金町駅の「みどりの窓口」。近隣の窓口は松戸か北千住だが、どちらを使う?

 文と写真・山下葉月
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