ヘイトから人権守って 川崎の市民団体が条例の実効運用求め要請書 13500筆余の署名提出

2021年5月14日 07時41分

学びの活動拠点とするふれあい館の平穏を願い会見に臨む在日コリアンのハルモニら=市役所で

 ヘイトスピーチに全国初の刑事罰を科す川崎市条例が施行された後も、在日コリアンへの差別をあおる街宣などが続いている−などとして、市民グループが十三日、市に実効性ある条例の運用を求める要請書を一万三千五百六十一筆の署名とあわせ、提出した。脅迫はがきが届いた多文化交流施設「ふれあい館」(川崎区)で学ぶ在日一世のハルモニ(おばあさん)たちも同席し「身震いするような怖さ」と、やまない差別への不安を口にした。 (安藤恭子)
 グループは「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」(関田寛雄代表)。市長宛ての要請書で、▽市内の街宣におけるヘイトスピーチを市が公に非難するなどの抑止策▽差別的言動を判断する際の有識者審査会の積極的な活用▽市民から申し出があったネット上のヘイトは原則審査会に諮問し、迅速に削除要請できる体制の確立−などを求めた。

川崎市人権・男女共同参画室の担当者に1万3561筆の署名を提出する関田寛雄代表(左)

 市内に住む在日コリアン三世の崔江以子(チェカンイヂャ)さん(47)は「とっとと帰れ」という趣旨の在日へのヘイトスピーチや「川崎は外国人にのっとられている」といったデマが続く現状を指摘。「市条例や審査会をきちんと活用し、差別扇動による人権被害から市民を守ってください」と訴えた。メンバーの〓重度(ペェチュンド)さん(76)も提出後に記者会見し「私は日本で生まれ育ち、日本を愛する一人。どこかに出て行きようもない。ヘイトスピーチが、いつヘイトクライム(差別的動機による犯罪)に変化するかと耐え忍び暮らしている」と嘆いた。
 ふれあい館には三月、在日コリアンを「死ね」などと脅迫する文書が「コロナ入り」と称した菓子の空き袋とともに届く事件が起きた。同館で活動するハルモニらのグループ「ウリマダン」の崔命蘭(チェミョンラン)さん(94)と石日分(ソクイルブン)さん(90)もこの日、車いすに乗って要請と記者会見に同席。「私たちのふれあい館を守って」「差別しないで仲良くしましょう」と願いを記した十人の作文集を、市側に届けた。石さんは「これまでも差別は、心に染みるつらさと痛さがあったが、今回の露骨な脅迫は身の危険を感じる怖さ。私たちが誇れる川崎市の条例で、ヘイトをなくしてください」と求めた。
※〓はなべぶたに裴

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