<伊東市政の課題>市長選16日告示 観光打撃、深刻な人口減 「コロナ禍…ますますさみしい」

2021年5月14日 08時09分

人通りがまばらな商店街=伊東市で

 温泉観光地の伊東市が、新型コロナウイルス禍による観光客減少や、人口減少に直面している。昨年の宿泊客数は二百万人を下回り、記録が残る一九六三年以降で最少だった。人口は国の推計で四年後には六万人を割る見込みだ。
 五月上旬の市中心部。商店街の人通りはまばらで、手持ちぶさたな様子の店員が通りを眺めていた。「コロナで県外だけでなく地元客も減り、ますますさみしくなっている」。六十代の飲食店主は嘆いた。
 コロナ禍以前、年間宿泊客数は二百万人台後半を維持し、二〇一九年は二百八十一万人だった。しかし昨年は百八十二万人にまで落ち込んだ。市の観光客の七割近くは首都圏からで、緊急事態宣言による外出自粛などが響いた。今年四月末〜五月上旬の大型連休も一九年同期比で半数程度にとどまった。
 市民の七割以上は、何らかの形で観光に携わっていると言われ、観光客の減少は生活に直結する問題。伊東観光協会の村田充康専務理事は「一時的に客が減ることはあったが、こんな長い期間は初めて。国の補助などで何とか踏ん張っている」と窮状を語る。
 村田専務理事によると、人口規模やアクセスの良さから首都圏が「一番のマーケット」ということは今後も変わらない。ただコロナ禍で近場での旅行が注目され、「県内客も大事にしないといけない」。静岡−山梨間で九月に開通予定の中部横断自動車道も新規開拓の好材料とみている。
 市民には人口減少への危機感も強い。市中心部の五十代の飲食店主は「定住者を増やさないと、市は観光だけではやっていけない」と心配する。「観光だけに力を入れると(催しへの)予算の垂れ流しになりかねない」と指摘し、移住定住の促進を求める。
 国勢調査によると、市の人口は一九八五〜二〇一〇年は七万人台を維持していたが、一五年には六万八千三百四十五人まで減った。今年四月末現在は六万七千三百四十四人。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二五年には五万人台に落ち込む。
 進学や就職などで若年層の転出が続き、出産・子育て世代は減少。少子高齢化で死亡数が出生数を上回る自然減が進む。三〇年に人口六万人を維持する市の目標達成は厳しい状況だ。
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 十六日に告示(二十三日投開票)される市長選には、現職の小野達也さん(58)と新人の石島明美さん(53)が立候補を表明している。新市長には両課題への有効な対策を講じ、長期的に持続できるまちづくりにつなげる手腕が求められる。 (山中正義)

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