<新型コロナ>ワクチン 5市町長が既に接種 「作業携わる」「キャンセル枠」

2021年5月15日 07時40分
 新型コロナワクチンの接種を、埼玉県内三市二町の首長が既に受けていたことが、本紙の取材でわかった。高齢者として手順に沿って受けたとするケースもあれば、接種作業に携わる立場を根拠に優先したというケースも。医療従事者や高齢者の接種が終わらず、予約が混乱する中、首長の接種を巡っては各地で賛否の声があがっており、丁寧な説明が求められる。
 本紙は十四日、県内六十三自治体にアンケートを実施。首長のワクチン接種の有無▽接種した場合は「医療従事者」「高齢者」「キャンセル待ち」など何の枠か▽接種していない場合は今後の予定−を尋ね、全市町村から回答があった。
 「接種した」と回答したのは、川口市の奥ノ木信夫市長(70)、加須市の大橋良一市長(74)、ふじみ野市の高畑博市長(59)、寄居町の花輪利一郎町長(76)、越生町の新井康之町長(76)の五人。
 川口市の奥ノ木市長は高齢者枠で自ら予約し、市内で六十五歳以上の接種が始まった十一日に接種を受けたという。十四日に「私自身が率先して接種を受けることで、市内の高齢者ができるだけ多く、かつ速やかにワクチン接種を受けるきっかけとしてほしいとの思いから受けた」とコメントを出した。
 寄居町の花輪町長は、四月十八日と五月九日に接種を受けた。町では四月十八日から九十歳以上の集団接種を開始。町長を含む七十五歳以上は五月二十三日からの予定だが、車いすの介助や問診票の記入など、接種業務に携わる職員として打った。副町長や教育長を含む町の職員約百人も、同じ理由で少なくとも一回の接種を済ませたという。
 十四日に会見した花輪町長は「間違ったことはしていない」と主張。政府が七月中の高齢者接種の完了を目指しているとして、「より多くの職員がローテーションで接種業務に関わる。私たちが町民に感染させてはならない。国の指針にのっとり、接種業務に関わる職員に率先して打つよう指示し、私も打った。町民にも理解いただいていると思う」と述べた。
 ふじみ野市によると、高畑市長は四月末ごろに一回目の接種を受けた。ワクチン接種について市医師会と打ち合わせる中で、医師会側から「打った方が良い」と勧められたという。市秘書室は「今後、接種会場で陣頭指揮を執り、医師とも接する機会があると判断した」としている。同市では今月八日から七十五歳以上への接種が始まった。
 加須市によると、八日に市内であった集団接種で三人分の予約キャンセルがあり、大橋市長と副市長、教育長の三人が一回目として打った。市は事前にキャンセル待ちのリストを作成。順番は上から、市長ら三役▽公立小中学校の教諭▽集団接種に携わる保健師ら職員▽公立幼稚園の教諭▽市の窓口職員−などとなっており、リストに沿って対応したという。
 九日に高齢者接種が始まった越生町の新井町長も、十日に予約キャンセルで余ったワクチンの接種を受けた。現状ではキャンセル分をどのように扱うか、町では決めていないという。
 「接種していない」と答えた首長は、いずれも今後、市民と同じ基準で予約・接種するか、「決まっていない」と回答した。新型コロナに感染して入院していた所沢市の藤本正人市長も「決まっていない」。和光市は市長が八日に辞職して不在。また、大野元裕知事は接種を受けていない。

◆厚労省、首長の優先想定せず 「職種の重要度、判断難しい」

 厚生労働省は新型コロナウイルスワクチンを接種する優先順位を、(1)医療従事者等(2)六十五歳以上の高齢者(3)基礎疾患のある人や高齢者施設などで働く人(4)それ以外−と示している。首長であることは優先の理由として想定していない。
 同省担当者によると、順位はコロナ患者に接するなどウイルスにさらされる機会の多さと、感染したときの重症化リスクの高さから医学的に決められた。その人物の社会的な地位は考慮していない。「どの仕事が重要か判断するのは難しいため」と説明している。
 内閣官房の担当者によると、政府として閣僚に優先接種する方針はない。菅義偉首相は訪米のため三月に接種を受けたが、加藤勝信官房長官や田村憲久厚労相は受けていない。
 ワクチン担当の河野太郎行政改革担当相は十四日の閣議後会見で、各地で首長が優先的に接種を受けていることに対し「接種したい住民の強い要望もある中、説明責任をしっかり果たしてほしい」と述べた。

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