<新型コロナ>高齢者ワクチンの予約電話、なぜつながらない? 各地で人員、回線とも争奪戦

2021年5月15日 08時10分

沼津市の第2次予約の案内チラシ。確実に予約できることや高齢者の家族らにネット予約の手助けをお願いしている

 65歳以上の高齢者向け新型コロナウイルスワクチンの接種予約で「電話がつながらない」と全国の自治体が大混乱だ。インターネットに不慣れな人が多く、予測はできたはずが、なぜこうなったのか。静岡県東部の市町を取材すると、コールセンターのオペレーターが全く足りないなどの課題が浮かんだ。 (渡辺陽太郎、山中正義、佐野周平)

◆パンク状態

 予約を五月七、八日に受け付けた三島市。用意できたのはわずか十回線で、ここに二日間で十万件超の入電が殺到した。つながった人は両日とも入電数の1%未満。苦情や問い合わせで市役所の代表や担当課までパンク状態になった。
 十五回線あった沼津市は四月二十一日に予約を受け付け、開始一時間ほどで約三千三百の枠が埋まった。富士市も十五回線。今月六日に一回目の予約を受け付け、三百人分が約二時間半で終わった。多くの人がつながらなかった。
 十〜十二日に受け付けた伊東市はさらに少ない六回線。「緊急対応」で、ワクチン接種の担当課などで受けた電話でも予約を受け付けた。いずれもネット予約を代行するような形だった。ただこれは市民への事前周知がなく公平性を欠く結果に。担当者は「市民の思いを最大限に拾おうとした苦肉の策だったが反省している」と話した。

◆対応は限界

 富士市は今月十日から接種会場を五地区に分け、日ごとに各地区の予約を受け付けるよう修正。それでもつながりにくくなる状況は続く。接種会場に直接電話したり足を運ぶ市民も多く、代表電話の回線がパンクする会場も。予約済みの人が「当日何を持って行けばいいか」など質問の電話をかけることもある。
 こうした「惨状」に、ある市の接種担当者は「数千回線はないとつながらない」とお手上げだ。回線を増やそうにも、全国の自治体が予約受け付けをしているため「オペレーターが不足している」。受託業者も人員確保に必死な状態で、市町が支払う委託費も高騰。予算は限られ、大幅な増強は困難という。
 沼津市の担当者は「回線は可能な限り増やすがパンクしないほどの数は用意できない」。伊東市も今後、回線数増を検討するが担当者は「他の自治体と争奪戦になる」と懸念する。

◆態勢立て直し

 混乱の反省も踏まえ、各市町は態勢を立て直す。二十五日に第二次予約を始める沼津市は、十五日付の広報紙に同封するチラシに「確実に予約ができます」と明記した。八月上旬までに希望者全員が二回接種する量のワクチンを確保できるメドが立ったためだ。
 そのうえで、高齢者を何とかネット予約に誘導しようと試みる。「自身で(ネットに)対応できない場合は、家族や友人・知人で手助けしてくれる人に協力を求めて」といった趣旨の文面も載せた。
 同市では、一部の町内会が自ら会場を設置、地域の高齢者のネット予約を手助けする動きも出始めた。
 三島市は職員らによるネット予約の「お助け隊」を組織、入力方法を支援している。一回目の予約の九割超はネットだった。今月下旬の受け付け再開を前に、同隊の拡充や予約代行を検討。電話予約は、年代別に分散して受け付けることも考えている。

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