コロナで経営不安、みかじめ料もう無理… 暴力団と関係断ち切る店が増える

2021年5月15日 12時00分
 新型コロナウイルスの影響で売り上げが減った飲食店などが、暴力団から長年要求されてきたみかじめ料の支払いをやめるケースが増えている。警視庁によると、昨年末から東京都内の飲食店など20店以上が、あしき関係を断ち切った。その一つ、都内の店舗経営の男性(57)は数年間続いてきたみかじめ料の支払いをやめた。「みかじめ料は不必要な出費。コロナ禍がきっかけだが、暴力団との関係を終わりにできた」と振り返る。(井上真典)

コロナ禍をきっかけにみかじめ料の支払いをやめた店舗経営の男性

 みかじめ料は、暴力団が縄張りと主張する区域内で営業を容認する見返りとして、不当に要求する金銭。こうした行為は暴力団対策法(暴対法)で禁止されている。警視庁によると、暴力団員が店にしめ飾りや門松などの購入代金名目で、数千~数万円を要求する。
 2019年改正の都暴力団排除条例は、特定の繁華街を対象にみかじめ料を支払った側も罰する。
 店舗経営の男性によると、暴力団員が初めて店を訪れたのは5、6年前の12月中旬。午後8時ごろ、目つきの鋭い男2人が店の前で「しめ飾りを2万円で買ってほしい」と威圧的な態度で言ってきた。男性が「うちは必要ない」と断ると、「そんなこと言っていいんですか」とすごまれた。面倒なことに巻き込まれるのを恐れた男性は、しぶしぶ1万円を支払った。
 すると、その後は毎年12月末に男が来て「今年もよろしくお願いします」と、しめ飾りを買わされた。警察への相談も考えたが、報復を恐れて諦めていた。
 コロナ禍で客足が遠のいた昨年、店の売り上げは10%減った。昨年10月には赤字になり、「必要のない経費は切り詰めたいし、暴力団との関係を断ち切りたい」と考えるようになった。
 昨年12月中旬、地元の警察官から、みかじめ料の支払いの有無を聞かれ、初めて打ち明けた。警察官から全面的なサポートを約束してもらい、昨年末はみかじめ料を断った。「警察に相談している」と勇気を出して伝えたところ、暴力団員は引き下がったという。
 男性は「警察官が店に顔を出し、約束してくれたことで断ち切れた。個人では難しかった。報復は受けていない」と話した。
 警視庁によると、ある都内の卸売業者は昨年末、50年以上にわたって支払ってきた毎年約1万円のみかじめ料を断ったという。
 警視庁の木村晋也組織犯罪対策三課長は「暴力団は、個人事業店など小さい店の弱みに付け込んでくる。警察が支援するので、関係を断ち切りたい経営者は、最寄りの警察署にすぐに相談してほしい」と話す。

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