ワクチン接種券の前倒し発送で対応追われる各自治体 大規模センターでの予約に必要「急な話で…」

2021年5月16日 06時00分
 新型コロナウイルスワクチンの高齢者への接種を巡り、国が東京都などに設置する大規模接種センターでの予約に接種券が必要となった。これまで予約の殺到による混乱を避けるため年齢の高い順に接種券を送っていた自治体は、繰り上げ発送などの対応に追われる。担当者は「優先度が高い人が取り残されないようにしてきたのに」と頭を抱える。 (石原真樹、宮本隆康、加藤木信夫、太田理英子、花井勝規)
 「大規模接種会場の予約を始められる日に、区の対応によって差があり不公平」。同居する80代の両親に早くワクチンを打たせたいという東京都大田区の男性会社員(56)が嘆く。17日から始まる23区居住者の予約には接種券が必要だが、大田区は同日に発送するため初日には間に合わない。「同じスタートラインに立てないのは納得がいかない」と男性。区の担当者は「急な話で変更できなかった」とする。
 今月下旬から74歳以下の人に接種券を発送予定だった品川区は急きょ、14日に発送した。
 武蔵野市は6月7日に74歳以下の約1万5500人に接種券を送る予定だったが、今月13日に大規模接種用の電子申請の受け付けを始め、14日正午現在で60人が申請。同市の予約開始は24日からで、15日正午までに接種券を申請した人には16日に保健センターで券を手渡す。

ワクチン接種券を急きょ発送することになり、郵便局に券を持ち込む準備をする品川区職員=13日、同区役所で

 大規模接種の予約に自治体の接種券が必要と発表されたのは12日。この日、相模原市は予約殺到を避けるため、65~74歳の接種券発送を5月中旬から6月へ先送りすると発表したばかりだった。神奈川、千葉、埼玉各県の住民の大規模接種の予約が始まるのは31日だが、それまでに接種券を届けられるかどうか、市の担当者は「検討中としか言いようがない」と困惑する。
 神奈川県逗子市は、大規模接種センターでの接種希望者に、個別に接種券を郵送などで届ける。市はこれまで年齢の高い人から小刻みに接種券を送り、送った6100人のうち3800人が予約を終え、目立った混乱はなかった。
 だが大規模接種の予約に接種券が必要と発表されると、「センターで早く打ちたいから券を送って」との要望が10件ほど相次いだ。担当者は「接種機会の拡大はありがたい」としつつ、31日までに65歳以上の全員に接種券を送るのは難しく、希望者に個別に送ることにしたという。
 5区分の年齢ごとに接種券を発送する千葉県船橋市も、約3割の高齢者への発送が間に合わず、大規模接種の希望者には個別に送る。通常の接種券は外部委託して発注済みで、個別分の発送は市職員が行う。担当者は「接種券が重複するが、破棄を呼び掛けるしかない」と話す。
 埼玉県志木市も、接種券を送っていない65歳以上の人に予定を繰り上げて送る。65~74歳は6月半ばの予定だったが、今月31日の週で調整中。新座市も65~74歳への送付を、当初予定の6月半ばから今月下旬に前倒しした。

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