接種開始から5カ月 ニューヨークの取り組みで分かった感染減少のカギ

2021年5月16日 06時00分

米ニューヨーク市のグランドセントラル駅で12日、新型コロナウイルスワクチン接種を待つ人々=杉藤貴浩撮影

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】新型コロナウイルスワクチンの接種が始まり5カ月が過ぎた米国では、接種率の上昇とともに新規感染者が減少し、各地で社会活動の再開が加速している。接種がこれから本格化する日本に必要な施策は何か。ワクチン会場や人手の確保、高齢者の接種支援などさまざまな課題に挑んできた東部ニューヨークの取り組みを追った。

◆予約も身分証明も不要

 ニューヨーク市中心部のグランドセントラル駅構内で12日朝、20人あまりの行列ができていた。この日からニューヨーク州が主要駅で始めたワクチン接種に並ぶ人々で、費用はもちろん、予約や身分証明書も不要。本人の同意と問診だけで誰でも受けられ、33ドル(約3600円)分の地下鉄乗車券までもらえる。
 「よく使う駅で受けられるのは便利。足が悪い私には特にありがたい」。列にいたヘレン・アルメイダさん(37)は満足げに話した。
 18歳以上の60%近くが1回以上の接種を完了し、特典を付けて未接種者の背中を押すほどワクチンが十分に供給されているニューヨーク市。しかし昨年12月の開始当初は、会場や人員の不足による待ち時間の長さに頭を痛めた。

◆保健師、救命士も注射スタッフに

 このため市や州などはそれぞれ接種場所を増設。人口約840万人のニューヨーク市内で420カ所以上の常設会場を確保した。具体的には一般の薬局も利用し、大リーグの球場や博物館も大規模会場に転用。注射スタッフとして休校中の学校の保健師や救急救命士も加わった。

グランドセントラル駅でワクチン接種を待つ人々=杉藤貴浩撮影

 こうした結果、接種対象を全成人に広げた後の4月中旬には、人口約2000万人の州全体で1日約23万回の接種を記録。行政は「トンネルの先に光が見える」(クオモ知事)と住民を鼓舞しつづけた。

◆高齢者には自治会から連絡

 また、当初必要だった予約のためのネット使用を敬遠する高齢者に対しては、行政や地元自治会から連絡し、接種日時を調整。遠出しなくて済むよう公民館や教会などに臨時会場も設け、自宅から出られない人には看護師らが出張して接種を進めていった。
 全米各地でも同様の取り組みが実施され、1月には1日で4000人を超えることもあった全国の死者は500人前後まで減少。バイデン政権は独立記念日の7月4日までに1回接種率を現在の約59%から70%まで上げ、「コロナからの独立」を目指している。

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