開催反対の声が強まる中…東京パラリンピックのテスト大会再開 コロナ対策など課題も

2021年5月16日 06時00分
 東京パラリンピック開幕まで16日で100日。新型コロナウイルスの影響で中断していた競技別のテストイベントは、4月の車いすラグビーを皮切りに再開し、パラ競泳などが順次実施されている。本番会場での運営の試行を通じて、コロナ対策の課題やパラ特有の注意点が見つかった。開催反対の声が強まる中、大会実現を目指すなら、テストで得られた教訓を本番に生かせるかもかぎとなる。 (兼村優希、神谷円香、高橋淳)
 車いすラグビーの運営テストは4月3、4日、国立代々木競技場であった。選手や運営スタッフら約100人が参加。当初は想定していなかったボールの消毒などの感染予防の作業が、タイムテーブルにどれほど影響するのかをチェックした。
 車いすの消毒では、運営面で豊富なノウハウを持つ競技団体の提案を取り入れた。選手控室の出口付近に消毒液を浸したタオルを敷き、そこを通ることで車輪を効率良く消毒できたという。

パラ競泳のテスト大会で、マスクを着けて入場する選手たち=4月26日、東京アクアティクスセンターで

 4月26日に東京アクアティクスセンターで実施されたパラ競泳のテスト大会では、課題も見つかった。事前のPCR検査で陰性だった選手たちが、「ミックスゾーン」と呼ばれるエリアで取材を受けた後の動線で、未検査の報道陣らと交わった。会場の構造上、動線の変更は難しく、組織委の森泰夫大会運営局次長は「選手が通過する際は他の人の流れを止める」などの対応を検討するという。ただ、約430人が参加したテスト大会と本番は規模が異なる。「今回は危険を感じなかったが、人が多くなると換気や動線の確保が難しくなるかも」。マスク着用で参加した視覚障害の富田宇宙(32)=日体大大学院=は不安をにじませる。
 見えた課題はコロナ対策に限らない。全盲の木村敬一(30)=東京ガス=は、会場のトイレの音声案内が日本語のみであることに触れて「国際大会をやる上で不十分では」と指摘。森局次長は「われわれが感じていなかったところ。運営計画に反映させたい」と応じた。

パラ陸上のテストイベントで、助走前にアシスタントの声が聞こえないとアピールする高田千明=11日、国立競技場で

 今月11日に国立競技場で開かれたパラ陸上のテスト大会では、障害の種類や競技種目が多い故のトラブルも。視覚障害の女子走り幅跳びで、代表に内定している高田千明(36)=ほけんの窓口=が試技に集中できず、場内放送に耳をふさぐ場面があった。助走の頼りにするアシスタントの声や手拍子の音が、かき消されたためだ。高田は「斜めに跳んで砂場から出たらけがもあり得る」と改善を要望した。
 テストイベントの多くはコロナ禍の前に終了。コロナ対策を落とし込んだ運営を本番会場で試せたのは、4月以降に再開した競技だけ。それらのテストでも、観客を入れての検証はできなかった。各競技のテストや国際大会で得られた知見を共有することが重要になる。

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