「70年ぶり。はーちゃん」 ハンセン病回復者・宮前区の石山さん 静岡に里帰り、旧交温める

2021年5月16日 07時13分

幼なじみらに迎えられた石山春平さん(手前(右))=静岡県内で

 ハンセン病回復者で、ドキュメンタリー映画「マイ・ラブ:6つの愛の物語」(日本編)で描かれた石山春平さん(85)=川崎市宮前区=が今月上旬、故郷の静岡県に里帰りし、幼なじみや親類らと旧交を温めた。
 小学六年でハンセン病と診断された石山さんは、学校を追われた。人目を避けて納屋に四年ほど住み、県内の療養所に入った。十年ほど前から、年に一度程度里帰りできるようになった。幼なじみから「七十年ぶり。はーちゃん」と迎えられると、再会を喜び、話し込んでいた。
 感染力が強く「恐ろしい病気」という誤った認識から、患者と家族は長く差別と偏見に苦しんだ。「三代さかのぼった血筋にまで縁談に支障が出た」と石山さん。療養所の職員だった妻絹子さん(82)に説得されて、三十二歳で社会復帰した。
 戸田ひかる監督(38)=大阪府=が手掛けた石山さんの映画は、過酷な差別の体験とハンセン病患者の強制収容の歴史を織り交ぜつつ、いたわり合い、穏やかに暮らす夫婦の日常を描いている。動画配信大手「ネットフリックス」で四月にオンライン公開された。
 石山さんは「子どもの頃はつらい思いをした。女房と人生を歩むようになって幸せ」という。一方で「昔から忌み嫌われた病気。波紋を起こしたくない」と、帰省時には今も神経を使うことを明かし、社会に差別意識が残ることを残念がった。 (河野貴子)

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