「コロナ禍の今こそ 音楽の力を」 日比谷音楽祭オンラインで復活 29、30日無観客

2021年5月16日 07時17分
 それでも音楽の力を−。コロナ禍のこの一年余、多くの音楽ライブは開催できず、ミュージシャンは打撃を受け、ファンもモヤモヤを募らせている。東京・日比谷公園などで二十九、三十日に予定していた野外フェス「日比谷音楽祭」も無観客のオンライン生配信に切り替えて開催することになった。昨年中止を余儀なくされ、音楽プロデューサーの亀田誠治実行委員長が「今年こそ」の情熱を注ぐイベント。“完全復活”は持ち越しとなったが、亀田は「こんな時だからこそ、心の支えが一番大事」と語る。 (谷岡聖史)

◆実行委員長で奔走 亀田誠治に聞く◆

日比谷音楽祭開催に情熱を傾ける亀田

 二〇一九年に初開催された日比谷音楽祭は「世代やジャンルを超えた豪華なフリー(無料)ライブ」として話題となった。二年ぶりの復活に際し、当初は感染対策を徹底して観客を入れる予定だったが、緊急事態宣言の延長を受け、オンライン配信のみの開催に切り替えた。
 今回はMr. Childrenの桜井和寿、GLAY、いきものがかり、Little Glee Monster、MIYAVI、半崎美子といったアーティストや童謡の魅力を伝える由紀さおり・安田祥子with木山裕策、津軽三味線の上妻宏光、十一歳のドラマーYOYOKAら四十組以上が名を連ねる。

♪待望されるエンタメ

 椎名林檎や平井堅らを手掛けてきた名プロデューサーの亀田は四月下旬のリモート取材に「この一年、エンタメは不要不急といわれてきたが待ち望まれていると感じる」と意義を語った。
 音楽祭のモデルとなったのは、米ニューヨークのセントラルパークで毎年開かれる無料の音楽祭「サマーステージ」。亀田が「ジャンルを超えて最高の音楽に触れてほしい。日本でも新しいお金の循環の仕方を作り、文化に貢献したい」と切望し、立ち上げた。
 昨年五月の第二回は、新型コロナウイルス感染拡大のため中止。仕事がなくなった音響、照明、警備など約三百人のスタッフへの支援金を、ネットを介して不特定多数から集める「クラウドファンディング」で募ると、共感した音楽ファンから一千万円超が寄せられた。出演予定だったアーティストの音楽をラジオやオンライン配信で届けた。「ものすごく大きな反響があった。音楽祭は中止でも、手応えは大きかった」と振り返る。

2019年6月に開かれた第1回日比谷音楽祭(実行委員会提供)

♪「無料」にこだわり

 それから一年。音楽だけでなく演劇、映画などエンタメ業界全体の苦境は続いているが、「どのような対策なら安全に開けるのか、さまざまなエビデンスも集まってきた」と話していた亀田。「やめるのではなく、安全に開催するために何ができるかをずっと考えてきた」。その結果、配信のみの開催となった。
 豪華な出演者とあって、周囲から有料化を強く勧められたこともあるというが、それでも無料にこだわるのは、Jポップの最前線で活躍してきた亀田ならではの考えがある。

リモート取材に応じる亀田

 「ここ十年ほど、音楽の聴かれ方が変わってきました。音楽はイヤホンで聴き、見知らぬ友達とは(SNSで)シェアするのに、家族とはしない。もともと音楽というのは、先代から受け取ったバトンを次に手渡す営み。そのためには、親、子、孫の三世代で、最高の音楽を無料で体験するのが一番です」
 日比谷音楽祭は多数の企業の協賛金や助成金、それに一般市民からクラウドファンディングで募った寄付金で運営する。亀田自身がスーツ姿で企業を訪問し、理念を直接伝えて協力の輪を広げてきた。コロナ禍でも、協賛企業はむしろ昨年より増えているという。
 亀田は言う。「思っていたよりもコロナが長引き、ソーシャルディスタンスよりも相互不信や疑いというメンタルの距離が人々の間にできてしまった。それを埋めていくのはエンターテインメントの役割なんです」

◆出演者の声(抜粋)

<桜井和寿>「東京を代表するこのフェス 日本を代表するこのイベント なんとしてもやりたい。皆さんとライブがしたいです。頼む!!」

桜井和寿

いきものがかり

<いきものがかり>「音楽のステージが、音楽を愛するひとたちにとって望まないかたちで“特別な場所”になってしまっている“今”です。あまり肩肘を張るつもりはないけれど、亀田さんや素晴らしいアーティストの皆さんとステージをともにすることに、頼もしい“意味”を感じています」

MIYAVI

<MIYAVI>「今、音楽をできることに感謝。そして、その音楽で、聞いてくれる人たちにパワーを与えることが僕たちの使命です。楽しみましょう。こちらも精いっぱい、楽しみます!」

上妻宏光

<上妻宏光>「さまざまな国に行ってきましたが、フリーで一流演奏家の音を聴くことができる環境を知り、感動した思い出があります。このような素晴らしい音楽祭がこの日本で開催されることをうれしく思います」

◆開催概要・視聴方法

 日比谷音楽祭は29、30日の午前11時〜午後8時、日比谷公園と東京ミッドタウン日比谷で無観客開催する。オンラインでの鑑賞には、動画サービス「U‐NEXT」を通じて生配信する。会員登録(初月無料)が必要。
 運営費のクラウドファンディングは6月7日まで。1口3000円から。

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