[信号機くんたち] 岐阜県各務原市 関谷博之(47)

2021年5月16日 08時39分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修
[子ども部屋] 神奈川県平塚市・会社員・63歳 石崎哲男

 子どもの巣立った部屋での在宅勤務が永く続いている。
 電車通勤というのは意外と足腰を鍛えていたな、と痛感している。
 急いで駅階段を駆け上がったり、座席を確保するために小走りしていた。タッチの差で座れず、つり革を握って車窓からの景色で季節を感じたり…。
 今は、子どもの勉強机で終日パソコン作業も珍しくない。
 壁に東京新聞に載っていた足腰強化のための体操図を貼り、運動を始めた。毎日やると意外と効果がある。
 おまけに、子ども部屋の窓から、公民館の桜や卒業式に向かう小学生が見える。
 さらに遠くに、富士山も見えるではないか。
 これには驚いた。
 子ども部屋からの風景で季節を感じるのも悪くない。

 「痛勤」という言葉もあるように、毎日の会社通いは、肉体的にも、時間的にも、なかなかハード。思わぬ形ながら、新しい働き方に出合って、気持ちもゆったり、新しい世界が見渡せるようになったようです。

[ゆずりあい橋] 愛知県刈谷市・会社員・58歳 竹内祐司

 通勤途中に橋がある。そこは「ゆずりあい橋」と呼ばれている。
 本当は、田中橋とか山田橋みたいに名前があるのだが、幅が狭く、車二台はすれ違うことができないから、どちらかが橋を渡らずに待っていなくてはならない。そのため、そう呼ばれるようになったのだ。
 ある日の朝、ゆずりあい橋まで来た時、向こうから来る車が見えたので、待っていた。
 その日は、どういう具合か、対向車が何台も続いていて、なかなか列が途切れない。
 おいおい、いい加減(かげん)にしろよ! 
 腹が立ちはじめた時、みんなが頭を下げていくことに気づいた。
 総勢十五人。
 朝から十五人に頭を下げられるなんて、俺は殿様か! と、とても幸せな気持ちになった。

 この橋の通称は、格式張った交通標語などより、よほど利用者のマナー向上に役立っている気がします。「どうぞ、お先に」と促す気持ちは、余裕の表れ。それが積み重なると、いつしか殿様気分♪

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