愛犬とワンダフルなキャンプを! 台風、コロナ、リストラも乗り越えた苦労人が南房総に「ペットキャンプの拠点」

2021年5月17日 07時13分

愛犬と海辺でキャンプを楽しめる施設「ドッグデプト」で働く鈴木草太さん。台風、新型コロナ、リストラの経験を乗り越え、南房総の魅力を発信する=いずれも南房総市白浜町根本で

 関東最南端の一角、南房総市白浜町根本に今年三月、愛犬と海辺でキャンプを楽しめる施設「ドッグデプトガーデンリゾート安房白浜」がオープンした。管理人の鈴木草太さん(35)=館山市山本=は西隣にあった観光名所「白浜フラワーパーク」でキャンプ場を運営した経験を持つ。台風や新型コロナウイルスに負けず「さあこれから」という時、施設が閉鎖。それでも「都会の人に南房総の素晴らしさを伝えたい」。最高のもてなしをと、新天地で汗を流す。 (山田雄一郎)
 鈴木さんは東京都生まれ。三歳の時、館山市に引っ越し、東京で働いた後、二〇一一年に地元へ戻った。音楽イベントを開催したつながりで一五年から白浜フラワーパークに勤務。妻利江子さん(38)と結婚式を挙げた思い出の場所でもあった。
 フラワーパークは房総半島を代表する観光施設で、ポピーやキンギョソウ、菜の花が咲き誇り、夏になるとキャンプ場に大勢の利用客が訪れた。太平洋の水平線が広がり、夜には無数の星が輝く絶好のロケーション。人々と気さくに触れ合う鈴木さんは、旧姓にちなんで「ヨネさん」の愛称で親しまれた。
 「ちょっとホテルに来てくれ」。昨年六月、フラワーパークを経営する観光会社から突然、高台に建つホテルにパートの従業員ともども呼び出された。今までそんな経験はなかったから嫌な予感がした。「フラワーパークは閉鎖する。もう決まったことだから」。リストラ宣告だった。
 一九年九月の台風15号で建物の屋根や壁が吹き飛ばされ、復旧のめどがついたと思ったら新型コロナウイルスで一時営業を休止。再開はされるものと信じていた。大勢の利用客に惜しまれつつ、フラワーパークは昨年八月に廃業した。
 その後、一部報道でフラワーパークとホテルを買収した人物が、インターネット衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前沢友作氏と判明した。前沢氏は台風15号で被災した館山市や南房総市などに高額の寄付をしたことで知られる。前沢氏の公式ツイッターアカウントに「またキャンプ場をやらせてほしい」とツイートしたが、返信はなかった。

ドッグデプトの敷地の様子。板を組み立てた区画にテントを張るなどして愛犬との触れ合いが楽しめる

 幸運だったのは、フラワーパークの隣でドッグデプトの開業準備が進んでいたこと。隣同士のためドッグデプトの関係者とは顔なじみで、その縁で管理を任されることになった。フラワーパークで犬のキャンプサイトを手がけたこともあり、その経験が生かされることになった。
 敷地には現在、木組みで囲った九区画があり、大工に交じり鈴木さんが組み立てたという。利用客は区画の中に車で乗り入れたり、テントを張るなどして愛犬と過ごす時間を楽しんでいる。新型コロナで移動制限が続く中、都会の人々が逃げ場を求めるように、この地を訪れているとも感じる。
 「台風、コロナ、リストラと大変な経験をしたが、今はプラスにとらえるしかない。ここをペット観光の拠点にしたい」と鈴木さん。「これからも都会の人たちに田舎の良さを伝える仕事に携わりたい。まだ旅の途中です」と笑顔を向けた。

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