<新型コロナ>「自粛生活 すぐ変わらない」 緊急事態宣言解除 市民ら冷静に受け止め

2020年5月15日 02時00分

「すぐには営業再開はできない」と話す大里明代表=大洗町で

 十四日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が三十九県で解除され、重点的な対策が必要な「特定警戒都道府県」に指定されていた本県も宣言から外れた。県は十五日、県独自の基準で休業要請の緩和などを発表する方針だ。飲食店や観光地の間からは先行きを不安視する声が上がるとともに、市民らも「自粛生活がすぐに変わるわけではない」と冷静に受け止めた。(水谷エリナ、松村真一郎、宮本隆康)
 水戸市宮町の商店街「宮下銀座」でビストロ「loupiote(ルピオット)」を営む荻谷麻美さん(37)は「緊急事態宣言が解除されてもすぐに店に行けないという声も聞くし、ワクチンができたわけではないので感染の第二波、第三波がくるのでは」と心配する。
 同店では四月上旬からテークアウト(持ち帰り)のみの営業に切り替えた。「当面はテークアウトを続けながらの営業になると思う」と荻谷さん。

テークアウト中心の営業を続ける店舗=水戸市宮町で

 同市の繁華街・大工町の居酒屋「和食居酒屋 藤」の加藤木隆夫店長(57)も「早く通常営業を始めたいけれど、感染がまた広がって自粛ムードが長引いてしまうのも心配。見えない相手と戦っているような感じだ」と不安をにじませる。
 年間四百万人以上が訪れる県内屈指の観光地である大洗町。「県内では感染拡大は抑えられていると思うが、うちの宿泊客は、東京や千葉、埼玉からが中心。そこで宣言が解除にならないと、営業再開はできない」と語るのは、大洗観光協会長を務める老舗旅館肴(さかな)屋本店の大里明代表(43)だ。
 現在、町内の宿泊施設四十カ所のほとんどが営業を自粛している。肴屋本店では、今月末まで営業を取りやめる予定。六月には宿泊予約が入っているが、東京都などで宣言が続けば、さらなる営業自粛の延長も検討しなければならないと覚悟する。
 大里さんは「県外客がターゲットなので、県外から人が来るきっかけをつくってしまってもいけない」と複雑な心境を吐露した。
 新鮮な魚介類を求めて多くの観光客が訪れる那珂湊おさかな市場(ひたちなか市)は四月二十一日から休業している。近接する海産物販売店の一部は、大型連休後に営業を再開したが、人通りはまばらだ。
 ヤマサ水産市場寿し店の木村泰治店長(70)は「お客さんはいつもの三分の一くらい。商売が心配だから、宣言の解除で客足が戻ってほしいと思う半面、感染が広がらないかという心配もある」と浮かない顔だ。

人通りがまばらな那珂湊漁港=ひたちなか市で

 東京都に近い県南部でも、宣言の解除に慎重な意見が相次いだ。宣言の対象に本県が含まれるのに先立ち、大井川和彦知事は四月二日、県南部などの九市町の住民に外出自粛を要請。同地域の自粛生活は一カ月半に及んでいる。
 つくばみらい市の角田忠良さん(77)は「安心はしないが、一歩良くなった。この辺の人は都内に通っているから、東京でも解除されないとだめ。これからも人混みや電車ではマスクを着けないと」と気を引き締めていた。
 在宅勤務中という守谷市内の女性会社員(30)は「マスクや消毒、手洗いを心掛けているが、解除で生活が変わるわけではない」と淡々と話した。

◆知事「第1波抑えつつある」 県独自基準 きょうにも自粛要請緩和へ

 緊急事態宣言が本県でも解除されたことを受け、大井川和彦知事は十四日、県庁で取材に応じた。「感染の第一波は抑えつつある。自粛緩和の方向で動きたい」として十五日に会見し、県独自の基準に基づき、外出自粛や休業要請の緩和を発表する方針を示した。
 県内では九日連続で新たな感染者が確認されていないが、知事は「気の緩みで感染拡大することは世界各地で起きている」と指摘。感染が収まっていない首都圏からの人の移動を止められなくても「安全な社会生活を送れる対策が必要だ」と強調した。
 県は七日、外出自粛や休業などを求める際の四段階の判断基準を公表。現在は、最も厳しい「ステージ4」の対策を取っているが、週明けの十八日以降は「ステージ3」に引き下げる可能性が大きい。
 「ステージ3」では、東京圏への移動は引き続き自粛を求めるが、外出自粛の要請対象は高齢者や妊婦を除き、週末・夜間のみに縮小。休業要請は、パチンコ店やスポーツクラブなど「三密」が重なりやすい二十四業種に限定する一方、飲食店への営業短縮要請は継続する。学校については、県立学校は休校を続けるが、週一、二回程度の分散登校を認める。(鈴木学)

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