<牛久入管で何が…長期収容される外国人> (4)難民、7年越しの認定

2020年5月8日 02時00分

「収容者で難民申請者サッカーチームができる」と皮肉った収容者の絵(牛久入管収容所問題を考える会提供)

 「祖国で肉体的な拷問を受け、日本で精神的な拷問を受けている」。東京都内の法律事務所で、四十代のコンゴ(旧ザイール)人男性が弁護士に窮状を訴えた。保護を求めた日本で収容されたり、難民と認められないなどの現状を嘆く言葉だった。
 弁護士によると、男性は二〇〇九年九月に来日。コンゴ政府から弾圧される団体のメンバーで、テレビで政府を批判した日の夜に逮捕された。約三週間、監禁されて拷問された。
 知人に大金を積んでもらって釈放されたが、情報機関の職員とみられる人物から「国から出ろ。また捕まり、今度は処刑されるぞ」と警告された。別人名義の旅券を入手し、航空券を確保できた行き先が日本だった。
 成田空港で入国管理局(現・出入国在留管理庁)に難民認定を申請したが、認められずに強制退去とされた。「戻れば生命の危険がある」と帰国せず、東日本入国管理センター(牛久市)に収容された。
 約一年後に仮放免されたが、就労許可はなく、生活保護を受けられず、健康保険にも入れない生活が六年以上続いた。
 難民不認定への異議申し立ては棄却され、二回目の難民申請も不認定。再び異議申し立てをした結果、証拠や供述の信用性を再評価され、一六年末に難民と認められた。七年越しの認定に、男性は「自分も小さな希望を持っていいのだろうか」とつぶやいた。

◆懸念

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の資料で、日本の一八年の難民認定率は0・25%。約一万六千人の申請処理のうち、四十二人だけだった。
 他の先進国の認定率と人数は、ドイツが23%の約五万六千人、米国は35%の約三万五千人、英国は32%の約一万二千人。日本の低さが際立つ。
 入管庁は「シリアのように、世界で難民と認定される出身国の申請が少ない。逆に、世界ではあまり認定されない国の申請が多い」と他国との違いを挙げる。
 しかし、難民の出身国別で比べても認定率は低い。世界の一八年の認定率は、ミャンマーが68%、クルド人らトルコ出身者が45%、スリランカが19%。日本はいずれの出身者も認めていない。
 UNHCRのトップは一九年八月、東京都内で会見し「他の先進国に比べ、難民認定の基準がかなり厳しい」と懸念を表明した。

◆制限

 申請者は送還停止が原則のため、入管庁は「申請を繰り返す乱用的な人が一定数いることも一因」とする。申請六カ月後から就労を一律で認めた一〇年の制度改正後、就労目的とみられる申請が急増したこともある。
 入管OBは「難民とは思えない申請が多すぎて、本当に難民性の高い人を判別できていない」と語る。
 入管庁の有識者会議は今年四月末、提言の骨子案を公表。「難民申請中の送還停止に一定の例外を設けることを検討する」と実質的な申請制限を提案した。
 コンゴ人男性を支援した駒井知会(ちえ)弁護士は「一回目の申請で、難民を確実に保護する措置がまず必要。今の認定率で送還を進める議論をすれば、とんでもないことになる。日本を頼る申請者を迫害の恐れのある国へ返すことになり得る」と警鐘を鳴らす。

関連キーワード


おすすめ情報