【解説】入管難民法改正案の成立見送り スリランカ女性死亡で劣悪環境浮き彫り、根本から内容見直しを

2021年5月18日 16時48分
名古屋入管で亡くなったウィシュマさん=遺族提供

名古屋入管で亡くなったウィシュマさん=遺族提供

 政府が、入管難民法改正案の今国会成立を断念した背景には、スリランカ人女性の死亡事案を通じ、入管施設での外国人の劣悪な待遇が明るみに出たことがある。
 上川陽子法相が「必ずや良きものになる」と語っていた改正案の審議では、女性死亡に対する法務省の中間報告の、隠蔽とも取れる内容が次々と明らかになった。与野党の国会議員だけでなく、弁護士や支援団体、多くの市民がノーを突きつけた。
 改正案は、外国人の長期収容が問題になっているのに、期限の上限を設定していない。さらに、難民認定の申請中は送還が停止されるという現行ルールを変更。退去命令が出て、直ちに帰国しなければ罰則を科すなど、本人が帰国した場合、不当に身に危険が及ぶ可能性に配慮していない。
 日本にいる外国人は293万人を超えた。日本社会はコンビニや、農業・建築現場、工場など多くの外国人労働者に頼らざるを得ない。一方、都合が悪くなると「不法」の一言で外国人を排除する「裁量行政」を行い、国連や米国務省などの批判を無視する。日本の姿は世界にどう映っているだろうか。
 米バイデン政権が、拘束された移民にも尊厳があるとして、「不法在留外国人」との呼称を禁じ、「市民権を持たない人」や「必要な書類を持たない人」との言葉を使う方針を示したのとは対照的だ。
 長年、日本の難民認定は世界的に見て厳しすぎると批判されてきた。人権の擁護を基軸にすえ根本から現行法を見直すべきだ。(望月衣塑子)

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