景気回復はワクチン次第 コロナ再拡大でGDPが3四半期ぶりにマイナス

2021年5月19日 06時00分
 2021年1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整値)は3・四半期ぶりにマイナス成長に転じ、新型コロナウイルスの再拡大で景気回復に急ブレーキがかかった。海外ではワクチン接種が進んでいる国の経済が回復しており、日本経済の行方もそのスピードにかかっている。接種に遅れが生じれば、景気回復が一段と遠のく恐れがある。(原田晋也)

◆対人サービスに打撃

 21年1~3月期の個人消費のうち特に大きく落ち込んだのが、外食など対人接触型のサービス消費だ。2度目の緊急事態宣言で、不要不急の外出自粛や飲食店の時短営業が呼び掛けられ、政府の需要喚起策「Go To事業」の停止も響いた。
 それでも実質GDPが戦後最悪となった昨年4~6月期ほどの落ち込みを避けられたのは、20年度通年では低調だった輸出が、21年1~3月期については堅調だったことが大きい。回復傾向にある海外経済に何とか助けられた形だ。
 3度目の緊急事態宣言で、エコノミストからは21年4~6月期の実質GDPは、2・4半期連続のマイナス成長に陥ると見方も出ている。だが西村康稔経済再生担当相は18日の会見で、中国や米国の高い成長率と両国などへの輸出の増加に言及。21年度中に経済がコロナ前の水準に回復するという政府の経済見通しを「今のところ変えるつもりはない」と強調した。

◆ワクチン接種さえ進めば…

 日本経済の回復は、ワクチンが鍵を握りそうだ。元日銀審議委員で野村総研の木内登英氏は「他の国で見られるようにワクチン接種と感染者減は現状で強い相関があり、実際に米国などでは経済が戻ってきている」と指摘する。多くの国民がワクチン接種を済ませば、控えられていた外食や旅行などの需要が一気に戻り、個人消費が大きく回復する流れだ。
 米国の21年1~3月期の実質GDPは、年率換算で前期比6・4%増だった。既に1億人以上が完了するなど急激にワクチン接種が進み、経済活動も順次再開している。一方、1月からフランスやドイツなどで変異株による感染が広がった欧州連合(EU)は1~3月期はマイナス成長だったが、ワクチン接種が進み、4~6月期はプラスに転じるとの見方が広がっている。

◆それでも日本はまだ3%

 英オックスフォード大の研究者らが作るデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、5月16日時点で少なくともワクチンを1回接種した人の割合は英国が54%、米国が47%。これに対し日本は約3%と圧倒的に遅れており、その結果、感染拡大に歯止めがかかっていない。
 木内氏は、日本の実質GDPがコロナ前のピークである19年7~9月期の水準を超えるのは、約2年半後の23年10~12月と予想。「ワクチン接種の遅れから感染収束の時期がさらに後ずれすれば、24年へ先送りされる可能性が高まる」と指摘する。

関連キーワード

PR情報