コロナ禍で求人も減り…財布は空っぽの44歳男性 空腹抱え都心を目指し2日間歩いた<新宿共助>

2021年5月19日 07時16分

財布の中は空っぽだった

◆新宿共助 食品配布の会場から

 「三日間、何も食べていなかった。助かった」
 緊急事態宣言下の大型連休になった五月一日、都庁前の食品配布会場で弁当やバナナの入った袋を受け取った男性(44)がほっとしたような表情を浮かべた。
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 「千葉県から歩いてきた」と言う。二日間かけて池袋に到着、支援団体からおにぎりをもらったのが水曜日。それから、空腹を抱えて都庁前で食品が配られる土曜日を待った。見せてくれた財布の中は空っぽだった。
 「寮あり」「食事付き」の労働現場を転々とする生活をコロナ禍が変えた。求人が減り、ネットカフェで過ごしたり、野宿したりする日が増えた。
 三月末、成田空港の近くでやっと寮付きの建築現場の仕事を見つけた。だが、日給一万円ほどの仕事が週に一、二日あるだけ。食費込みの寮費は一日三千円。ここにいるだけで赤字だ。飛び出すことにした。
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 練馬区出身。高校を中退して建築関係の職人だった父を手伝った。その父が病死。就職したビルの改修や修繕をする会社は、一カ月休みがないこともある「ブラック企業」だった。八年間勤め、疲れ果てて退職した。それから、定職に就かない生活が続いている。
 「この年齢では正社員なんて無理、しょうがねぇかって。家族はいないし、一人でできるところまでやります。連休明けに仕事の面接を入れているので、それまでしのげれば」。話し終えた男性は、丁寧にお辞儀をすると、リュック一つを背負い人混みに消えた。 (中村真暁)=随時掲載

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