「プレ金」まだやるの? コロナ禍でも静岡市は今年度440万円計上 経産省は「ほぼ自然消滅」

2021年5月20日 12時00分
プレミアムフライデーをPRする旗が掲げられている中心市街地。月末金曜でも平日の人通りに変化は見られない=先月30日、静岡市で

プレミアムフライデーをPRする旗が掲げられている中心市街地。月末金曜でも平日の人通りに変化は見られない=先月30日、静岡市で

 月末金曜、何しよう?―。こんなキャッチフレーズで、2017年に国などが提唱した「プレミアムフライデー(プレ金)」。金曜は早く仕事を切り上げ、買い物などを楽しむ取り組みだ。静岡市は当初から熱心で、官民共同の推進協議会を設立し、21年度も440万円の予算を計上した。ただ、新型コロナウイルス禍では買い物などを促すのは困難。テレワークも奨励され、立ち消え感が漂う。市民からは「続ける意味はあるのか」と、市の予算計上を疑問視する声も聞かれる。 (中川紘希)
 4月のプレ金となった30日午後3時。プレ金には全商品を5%引きにしている駿河区の衣料品店には、客数人が訪れる程度だった。店主の男性は「一部のお得意さまが(割引を)利用してくれるから続けているけど、客を増やす効果は全くない」とこぼした。
 静岡市は17年2月、商工会議所や商店街、労働者団体などと「官民推進協議会」を発足した。定期的にトークショーやセミナーなど多彩なイベントを企画。富士山をモチーフにオリジナルのロゴマークも作り、働き方改革の旗振り役になった。今も中心市街地にPRする旗がはためく。
 経済産業省によると、自治体で独自の協議会を設立しているのは静岡市が全国で唯一とみられ、「先進事例」という。同省や経済団体でつくる推進協議会のホームページで市の取り組みが数多く紹介されている。
 市の予算も17年度から3年間、2000万円(半分は国費)ずつ、20年度は全額市費で1000万円を計上。趣旨に賛同する宣言書を提出した市内の企業団体の累計は17年度の365社で、18年度は507社に増えた。その後は伸び悩み、19年度は570社、20年度は600社弱となる見通しだ。
 特に20年度はコロナ禍で3密回避のために人を集める催しはできず、特定の日に買い物を促すことも困難に。テレワークなど柔軟な働き方が推奨され始めた。駿河区の20代の会社員女性は「プレ金なんて忘れかけていた。会社も1年間ぐらいは月末金曜に早い時間の退社を促していたけど、今は話題にもならない」と話す。
 それでも、市は21年度も当初予算に「プレミアムフライデー推進事業」の名目で、440万円を盛り込んだ。担当者は「月末金曜を少し豊かに過ごしてもらいたいという目的は変わらない。認知度は高く、働き方改革の認識を持つきっかけになった」と効果を強調。一方、「コロナで生活が変わり、プレ金の課題」とも認める。関係団体の意見を集約し、6月ごろの会合で今後の方針を決めるという。

◆経産省の予算執行は近年ゼロ

 経済産業省はプレミアムフライデーのPRなどに、これまで約2億円を投じた。消費・流通政策課によると、同省などの推進協議会は活動中というが、ほぼホームページ(HP)の運営だけで、自然消滅に近い状況だ。
 協議会が2019年に20~50代の男女約2000人を対象に行ったインターネットアンケートでは、認知度は9割。同省担当者は「柔軟な働き方を進める一環になった。(早めに社を出るのを)実践する企業も徐々に増えている」と語る。
 一方、事業を打ち出した16年度に約1億8170万円だった同省の予算の執行額は年々先細りし、20年度と21年度はゼロ。協議会が作製したロゴマークの全国の使用申請は17年が8112件だったが、18年は159件、19年は167件、20年は53件と急減している。
 協議会のHPの更新も月に1回程度になっている。

 ▽プレミアムフライデー 2017年に経済産業省や経済界が提唱した消費喚起と働き方改革のキャンペーン。全国で月末の金曜は午後3時に仕事を終え、買い物や旅行に出掛けることを促す。職場環境に応じて、別の日に早めに会社を出る「振替プレミアムフライデー」も推奨している。

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