ワクチン大規模接種の予約システムに欠陥 マイナンバー追跡でも不具合…関連会社の顧問に竹中平蔵氏

2021年5月20日 17時35分

「自衛隊東京ワクチン接種Web予約」ページの画面

 このシステムを作ったのは、人間ドックの予約ポータルサイトの開発・運営を手掛ける東京都港区の「MRSO(マーソ)」という会社。菅内閣の成長戦略会議委員を務める竹中平蔵元経済財政担当相が経営顧問に名を連ねる。今回の東京大規模ワクチン接種センターでは、大手旅行代理店「日本旅行」が会場運営業務を約19億円で受注しており、マーソ社と日本旅行は2月、業務提携している。
 なぜマーソ社に予約システムを任せたか防衛省に尋ねたが、同省広報担当者は「担当者が忙しく確認が取れない」と話した。

◆ワクチン接種記録のシステムも不具合

 ただ、ワクチンを巡るITシステムの問題はこれにとどまらない。マイナンバーで接種歴を追うとして内閣官房が導入した「ワクチン接種記録システム(VRS)」も不具合が頻発し、自治体から不評が相次ぐ。
 VRSは接種を受けた人の予診票に貼り付けた接種券情報を、国が配布したタブレット型端末のカメラで読み取り、データセンターに送信する仕組みだ。
 接種券情報は、自治体によって、バーコードと18桁の数字番号(OCRライン)が2つとも印刷されたものと、OCRラインのみ印刷されたものがあるが、「すでにバーコードなしで印刷が終わってしまった自治体もあったため」(内閣官房IT総合戦略室担当者)、OCRラインのみ読み取ることになった。

◆使えなさすぎて現場は「心折れそう」

 だが、微妙な角度や距離の違いや手ぶれなどでOCRラインをカメラで読み取れないケースが続発。千葉市の接種担当者は「バーコードも読み取ってくれれば…」と嘆き、東海地方の医療機関の担当者は「こちらは必死の思いでこなしているのに、あまりの稚拙さに心が折れそう」と話す。内閣官房は段ボールの台に置いて撮影する方法などを推奨してきたが、あまりの不評を受け、専用のスタンド台の配布を来週から始めるという。
 国会でこうした問題を追及した国民民主党の伊藤孝恵参院議員は、「自治体からは、あまりに使い勝手が悪いシステムを使うことを強要され、『政府によるシステムハラスメント』という怒りの声も聞こえてくる」とした上で、「VRSはワクチン接種をリアルタイムで把握するためというより、マイナンバー制度をどう入れ込むかというところから始まったシステム。まさに霞が関の机上の空論で進められ、自治体や医療機関に負担だけを押しつけた最悪な形だ」と話す。

◆「失敗を覆い隠そうとするあさましさ」

 ワクチン接種にまつわるあまりにお粗末なITシステム群。だが、今は「ワクチン接種を急げ」という大号令のもと、問題点の指摘さえ控えろ、と唱える向きもある。防衛省の欠陥予約システムに関しては、検証取材の一環として架空予約(その後予約取り消し)を行った朝日新聞出版と毎日新聞に対し、岸防衛相が「悪質な行為。厳重に抗議する」と言えば、岸氏実兄の安倍晋三前首相が「朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯」と攻撃した。
 上智大の中野晃一教授(政治学)は「痛いところを突かれたための『逆ギレ』以外、何ものでもない。攻撃することで、失敗を覆い隠そうとするあさましさ。現役防衛大臣と前首相がジャーナリズムの萎縮を狙っているようにしか見えず、国際的にみても恥ずかしい」と指摘。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「そもそもワクチン接種の段取りの悪さを隠すために、安全保障上の最終手段としての自衛隊を使うこと自体あっていいのか、はなはだ疑問だ」とした上で、「国民が一丸となる時に政府に不利なことを言う人は非国民だ、という感覚。先の大戦時と同じ価値観で今も動いているかと思うと、驚きしかない」と語った。

デスクメモ
 PCR検査、ワクチン接種率は世界最低水準。国産ワクチン実用化も遠い。むだなアベノマスクを配り、非科学的なGoToを強行し、いざ接種本番となったらこのありさま。コロナ禍での政府の無策無能無責任はとどまるところを知らない。五輪の強行開催がそのとどめになるのか。(歩)

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