ホストタウンは落胆?それとも、やむなし? 東京五輪・パラ事前合宿、45自治体がコロナで断念

2021年5月20日 19時00分
 新型コロナウイルスの影響で、東京五輪・パラリンピックに出場する海外選手の事前合宿の中止が相次いでいる。これまでに、少なくともホストタウンの45自治体が合宿や交流を断念。「残念だ」という声の一方で「コロナで人手が必要。合宿対応は厳しかった」と複雑な思いも。選手にとっては、東京の高温多湿の環境にどう順応するのかという課題が残る。

千葉県成田市では、ホストタウン事業として米国陸上選手らを招いた高校生との交流イベントも開かれた=昨年1月、成田市で(同市提供)

◆相手国がキャンセル

 「子どもたちも楽しみにしていたと思うが、町もワクチン接種で忙しい。仕方ないのではないか」。五輪選手の公開練習が予定されていた千葉県横芝光町の陸上競技場近くに住む30代の女性は、残念そうに胸中を明かす。
 同町は人口約40万の小国・ベリーズ(中米)の選手団が事前合宿するはずだったが、4月下旬に「選手の健康や安全を確保できない」と受け入れを断念した。大会後に計画していた住民との交流も中止に。今後はオンライン交流を検討する。
 国によると合宿・交流事業を断念した45自治体のうち32自治体が相手国の意向。台湾のバドミントン代表チームが事前合宿を計画していた東京都多摩市には、台湾側から「(市外の)宿泊施設で、日本政府から示された新型コロナウイルス感染症対策をガイドライン通りに実施することは困難」と中止の申し出があった。阿部裕行市長は「残念だが、現実的にはコロナ対応で人繰りが大変で、合宿の受け入れに回す職員の確保が厳しかった」と複雑な胸中を明かす。

◆交流会も中止に

 千葉県成田市、佐倉市、印西市は米国陸上競技チームが事前合宿の予定だった。成田市では選手らに伝統文化を楽しんでもらう交流案もあったが、担当者は「(事前合宿が)あるか、ないかでは全く違う。交流は厳しくなった」と残念がる。埼玉県上尾市ではオーストラリアの柔道代表選手団の事前合宿が中止に。市の担当者は「本当に残念。1日だけでもと思ったのだが」と悔しがる。
 国分寺市は、東京パラリンピックに出場するベトナム水泳選手団の合宿が中止になり、オンライン交流やプールの観覧席の開放なども取りやめになった。選手が宿泊予定だったホテル日航立川東京(立川市)の担当者は「交流のためのレセプションを予定していたが、残念だ」と話した。

平塚市の小学生らと七夕おどりを楽しむリトアニアのパラリンピック選手ら=2019年5月、神奈川県平塚市で

◆「対策講じてできることを」

 事前合宿が予定されている自治体もコロナ対策には気を配る。リトアニアのホストタウン・神奈川県平塚市で交流推進実行委員長を務める田中国義さん(77)は「コロナの状況は重視しなければいけないが、対策を講じた上で、できることを考えたい。練習を見学したり、ステージと客席の距離を十分にとって対面したりする機会を設けたい」と語る。
 

ホストタウン 東京五輪・パラリンピックに向けて、参加国・地域と相互交流を図る地方自治体。選手団の事前合宿地となっているケースも多い。ホストタウンに登録している自治体は4月27日現在で528。

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