東京五輪、事前合宿中止で海外選手に影響は? 高温多湿にどう順応…慣れるまでに2週間は必要

2021年5月20日 21時18分

2019年の世界選手権女子20キロ競歩で、頭に水を掛けながらレースする日本代表の岡田久美子。右は藤井奈々子。東京五輪でも暑さ対策が課題となる=ドーハで

 海外から参加する選手にとって、事前合宿は時差調整や暑さ対策の面で重要とされる。その相次ぐ中止は、五輪本番に影響を及ぼす可能性がある。

◆暑さ対策が勝負のカギに

 気象庁によると、昨年8月の東京の平均気温は29・1度、湿度は76%。高温多湿の東京で、海外選手が来日直後に力を発揮することは難しい。暑さに体を慣らす「暑熱順化」をした上で大会に臨むのが一般的だ。特に屋外競技の陸上、トライアスロンでは暑さ対策が勝負のカギを握る。日本陸連の杉田正明・科学委員長は「本番直前のコンディションでは、暑熱順化をどう行うかが大事。短くても1週間から10日。一般的には2週間は必要。個人差があって、長ければ3週間かかる」と分析する。
 実際、国際オリンピック委員会(IOC)の手引書「BEAT THE HEAT(暑さに打ち勝て)」では東京五輪で選手やコーチが直面する危険性の一つに日本の蒸し暑い気候を挙げる。対策として、大会2週間前から東京の夏と同じ条件下で練習することを推奨し、多くの代表チームは事前合宿を想定してきた。
 それが中止になったからといって、早めに選手村入りすることもできない。IOCが昨年12月に示した東京五輪選手村のガイドラインは感染予防のため、滞在を各競技の開始5日前から終了後48時間(2日)以内に制限する。

◆プレーやコンディションに差も

 事前合宿を行わず競技5日前に選手村へ入り、本番を迎えれば、パフォーマンスを十分に発揮できない可能性もある。チームによって、暑熱順化やコンディションの差が出てくるだろう。それでも公平性は保たれるのか。
 東京五輪に向けた9日の陸上テスト大会を視察した世界陸連のセバスチャン・コー会長は「過去の大会と状況が違うことは、みんなが理解している。(選手は)何かを犠牲にしないといけない。受け入れるかと言えば『イエス』だ」とコロナ禍の五輪であることを強調している。(森合正範)

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