パートやバイトはコロナで休業補償なし、正社員との格差浮き彫り 首都圏青年ユニオンが「黒書」まとめる

2021年5月22日 06時00分
 新型コロナウイルス禍でパート・アルバイトとして働く「シフト制労働者」に、休業手当が支払われないなどの問題が相次いでいる。こうした事態を受け、労働組合「首都圏青年ユニオン」は、コロナ禍の相談事例から浮かび上がった問題点をリポートにまとめた。会社の都合でシフトを変えられ、休業時の補償も乏しいシフト制の働き方では、企業に対する一定の規制が必要だと提言した。(岸本拓也)

 シフト制労働 1週間や半月ごとなどに作成される「シフト表」によって、最終的な勤務日・時間が確定される働き方。勤務日や勤務時間が固定されている働き方とは異なる。主に飲食や小売業などサービス需要の変動が大きい産業で、柔軟な人件費の調整手段として導入されている。

 「シフト制労働黒書」と銘打ったA4判24ページのリポートは、2020年4~12月に、ユニオンに寄せられた440件の労働相談を分析した。
 リポートはシフト制労働者が直面した問題点を、(1)補償がない休業(2)正社員との補償格差(3)制裁(嫌がらせ)としてのシフトカット(4)雇用保険からの排除―の4点に整理して解説した。
 特にコロナ禍では、休業を余儀なくされたのに休業手当を受け取れない「補償のない休業」に関する相談が目立った。労働基準法は、会社の都合で労働者を休業させた場合、あらかじめ決めていた所定の労働時間・日数に応じ休業手当を支払う義務があると定める。だが週ごとなど一定期間ごとに勤務日が決まるシフト制労働者の多くは、シフトが作成されていない期間の所定労働時間が曖昧だ。
 レストランで働く50代のアルバイト男性の相談事例では、昨年4~5月に仕事が休みになり休業手当の支給を求めたが、会社側は「シフトが組まれなかっただけで休業ではない」と主張し支払いを拒否した。
 厚生労働省は、シフト未確定の期間について「休業手当の支払い義務を認めるのは困難」との見解を示す。このためコロナ禍でシフト制労働者を休ませた会社でも「法的な支払い義務はない」と主張するケースが後を絶たないという。
 しかしユニオンの顧問弁護士を務める川口智也氏は「契約書などであらかじめ所定労働時間が決まっていなくても、過去の勤務実績などから(シフト未確定期間の)労働時間を確認できれば、企業に休業手当を求めることはできる。国は法解釈を誤っている」と反論する。

シフト制労働の問題点について話す首都圏青年ユニオンの原田仁希執行委員長(右)と、川口智也弁護士=6日、東京都千代田区で

 首都圏のカフェチェーンで働く30代女性の例では、社員の店長には休業手当が100%支払われたが、パート・アルバイトに支払われないケースがあった。リポートは正社員との不合理な待遇格差を禁じたパートタイム・有期雇用労働法に違反すると指摘した。
 このほかアルバイトのシフトを意図的に減らす嫌がらせや、シフトを減らされたために雇用保険などの加入基準から外れ、社会保険からの脱退を迫られた例も問題点として挙げた。
 リポートは法改正などを通じ、勤務実績に応じた休業手当の支給や、最低限保障する労働時間を契約書に書くことなども会社に義務付けるよう提言した。
 ユニオンの原田仁希執行委員長は「シフト制労働者は『柔軟な人件費調整手段』として企業に利用され、立場も弱く、収入も不安定だ。その課題がコロナ禍で一気に噴出した。働く人を守る何らかの規制が必要だ」と話した。

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