氷がとけたら何になるでしょう。学校のテストで、「水」でなく…

2021年5月22日 07時59分
 氷がとけたら何になるでしょう。学校のテストで、「水」でなく「春」と答えた児童の話がある。随分前に新聞などで紹介され、知られるようになったらしい。雪がとけたら−などと、かたちを変え、子供の豊かな発想の力を語る際に今も援用される話だ▼温暖化で北極の氷や雪がとけたら何になるでしょう。こちらの問いの答えは大国の発想からすれば、意外ではないか。「争いになる」かもしれないという。米ロなど北極圏周辺の国が参加して開かれた北極評議会は平和への協力を確認した一方で、主導権争いの空気も漂わせていたらしい▼氷や雪が、さらにとければ、利用が増えている北極海航路の重要性は高まる。海中や陸地に存在する豊富な資源もとりやすくなる▼開発競争の場が宇宙に達している時代であるから、驚くことでないが、北極圏は戦略的競争の舞台としての色を濃くしている。ロシアは軍事活動を活発化させており、米国が神経をとがらせる。遠く離れている中国も、巨大経済圏構想の一環として、航路の活用に意欲的らしい▼地球全体の三倍の早さで、北極圏の温暖化が進んでいると、国際的な研究機関が会議に合わせて発表した。競争がもたらす緊張は、時間とともに高まるおそれがある▼「競争と争いの地になるのを見たくはない」と先住民の団体の代表が訴えていた。国と国の雪解けを願っている。

関連キーワード

PR情報

筆洗の新着

記事一覧