豊島将之竜王、羽生善治九段が大激戦の末に王位戦挑戦者決定戦へ 勝者が藤井聡太王位に挑む

2021年5月22日 11時11分
 藤井聡太王位(18)=棋聖=への挑戦者を決める「お~いお茶杯第62期王位戦」(東京新聞主催、伊藤園特別協賛)の挑戦者決定紅白リーグの最終5回戦が7日、東西の将棋会館で一斉に指されました。両組とも、4回戦終了時点で3勝1敗の棋士3人が並び、プレーオフ開催が濃厚とみられていましたが、意外な結末が待っていました。大激戦の模様をリポートします。

 ▽王位リーグの仕組み 6人ずつの紅白各組の優勝者が挑戦者決定戦に進出。下位4人はリーグから陥落する。複数人が同星で並んだ場合の優勝者や残留者の決め方は、4勝1敗ならばプレーオフを実施。3勝2敗ならば該当者間の直接対決の結果で判断し、それでも優劣が付かない場合は前期成績を比較する。今期は両組とも2位以下の3人が3勝2敗で並んだが、直接対決で2勝している澤田七段と佐々木五段がそれぞれ残留した。

休憩時間も熱心に読みふける永瀬拓矢王座。痛い敗戦でリーグ陥落となった

 全6局のうち、東京で指された5局はすべて優勝争いに絡んでいます。白組は1敗勢のうち羽生善治九段と佐々木大地五段が激突。永瀬拓矢王座は近藤誠也七段との対戦に勝てばプレーオフ進出です。その永瀬―近藤戦が、午前中からものすごい戦いになりました。
 永瀬王座が誘いの隙をつくる強気の手を指すと、近藤七段も待ってましたとばかりに応戦。開始から1時間もたたないうちに、先手の飛車が敵陣に成り込む激しい展開に進みました。永瀬王座は昼食休憩の時間も早めに席に戻り、マスクを外して真剣な表情で読みふけっていました。

紅組優勝を決めた豊島将之竜王。藤井聡太王位への挑戦権を懸け、両者が激突する

 一方、紅組の1敗勢は直接対決がなく、豊島将之竜王=叡王=が片上大輔七段と、木村一基九段が斎藤慎太郎八段と、澤田真吾七段が佐藤天彦九段と、それぞれ対戦しました。
 最初に決着したのは豊島―片上戦でした。片上七段の振り飛車戦法に対し、端攻めで局面をリードした豊島竜王。玉の早逃げで安全を確保すると、最後は危なげなく寄せきりました。午後5時56分の終局で、豊島竜王はプレーオフ以上が確定。「今期は初戦(木村九段戦)で負けて厳しいかと思ったが、望みをつなげることができた。4勝1敗は現実的に目標にしている数字。まずまずやれたかな」と振り返りました。
 ●  ★

白組優勝で挑戦者決定戦に進んだ羽生善治九段

 この後、各局が一気に佳境を迎えます。羽生―佐々木戦は、両者とも居玉のまま激しい攻め合いに。先手の佐々木五段が竜と銀で後手玉を追い詰めたかに見えましたが、羽生九段の歩を使った受けが絶妙で、際どくしのいでいました。午後7時10分、佐々木五段が投了。羽生九段は1993年に初めて王位リーグ入りして以降、一度も陥落していないという驚異的な記録を今期も更新しました。
 10分ほどして、永瀬―近藤戦も決着。激しい変化が一段落してからは丁寧な指し回しが光った近藤七段。「4強」の一角である永瀬王座を破る金星を挙げました。リーグ陥落が決まった永瀬王座は「課題が多く見つかったリーグだった」と言葉少なに話しました。

敗れたもののリーグ残留となった佐々木五段

 この結果、白組は羽生九段の優勝と佐々木五段の残留が決定。感想戦後に一報がもたらされ、羽生九段は「まだ実感が湧かない」としつつも「(白組は)20代の方ばかりなので、若い世代の新しい将棋に刺激を受けた。ミスもあったと思うが、全般的にはうまく指せた」と振り返りました。
 紅組の木村―斎藤戦は相矢倉のじっくりした戦いから、先手の斎藤八段が少しずつリードを広げ、最後は即詰みに討ち取りました。豊島竜王が勝ったため、前王位の木村九段は無念の陥落。「負ければ陥落と覚悟していたが、いいところのない将棋だったのは悔いが残る」と語りました。

敗れたもののリーグ残留となった澤田真吾七段

 残るは澤田―佐藤戦のみ。澤田七段は勝てば豊島竜王とプレーオフでしたが、佐藤九段の丁寧な受けに屈し、午後7時40分に投了。澤田七段は辛くも残留ですが「負けた2局の内容が良くなかったのはこれからの課題」と反省の弁を述べました。
 この結果、紅組は豊島竜王の優勝が決定。こうして「王位戦の一番長い日」は幕を閉じました。今月24日の挑戦者決定戦のカードは、豊島竜王対羽生九段に決定。対戦成績6勝1敗と藤井王位に大きく勝ち越している豊島竜王か、タイトル100期の大台にあと一つと迫る羽生九段か。どちらが藤井王位に挑戦しても、盛り上がること間違いなしの7番勝負となりそうです。

関連キーワード


おすすめ情報

囲碁将棋の新着

記事一覧