「#職場でのアウティングは労災」…労災申請の同性愛者の男性、6月に厚労省に署名提出へ

2021年5月22日 20時36分

職場でのアウティング被害を労災と認めてほしいと訴える男性(右)ら=東京・霞が関の厚生労働省で

 同性愛者であることを上司から同僚に暴露(アウティング)され、精神疾患になった20代男性が4月、労働基準監督署に労災を申請した。アウティングに関する労災申請はほとんどなく、現行の労災認定基準には明確に位置付けられていないという。男性は職場でのアウティングが労災と認められるようネット署名にも取り組んでおり、6月にも厚生労働省に提出する予定だ。(奥野斐)
 「私と同じような体験をして、泣き寝入りする人をなくすためにも労災認定を勝ち取りたい」。労災申請時に厚労省で開いた記者会見で、男性は訴えた。
 2019年5月ごろ、勤務する東京都豊島区の生命保険代理店で、上司から同性愛者であることを同僚に伝えられ、職場で無視されたり避けられたりした。「自分のことが広まっているのでは」との不安や恐怖から精神疾患を発症して働けなくなり、会社を退職した。
 会社側は当初「善意でやった」としていたが、男性はアウティングを禁じる条例がある区へ人権侵害による救済を申し出た。会社は昨年10月、アウティングの事実や責任を認め、謝罪と解決金の支払いに応じた。
 本人の同意なく性的指向や性自認を第三者に伝えるアウティング行為が表に出るケースは氷山の一角だ。宝塚大の日高庸晴教授が、当事者約1万人を対象に19年に実施したライフネット生命保険の委託調査では、25%がアウティングの被害に遭っていた。
 昨年6月に施行された「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」では、アウティングがパワハラとみなされ、企業に防止義務が課せられた。男性を支援するNPO法人「POSSE」の佐藤学さんは労災申請の意義を「認められることで公的な補償を受けられるのはもちろん、職場での差別や人権侵害をなくすことにつなげたい」と話す。
 署名は22日現在、1万8000筆を超える。詳細はオンライン署名サイト「Change.org」で「#職場でのアウティングは労災」で検索。

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