年齢≠定年、バブル採用のツケ、高齢顧客への対応…シニア活用様々 コロナ禍で様子見も

2021年5月23日 22時21分
 70歳までの就業機会確保を巡り、人事制度の改革を迫られる企業の対応はさまざまだ。今後、人手不足が見込まれる業種がある一方で、大量の「定年予備軍」となったバブル期採用社員の処遇に苦労する企業もある。66歳以上が働ける制度のある企業は3割強にとどまっており、いまだ様子見の企業が少なくないのが実情だ。
 人手が不足する業種では、定年を廃止する動きもある。YKKグループは従来の65歳定年制を廃止し、本人が希望すれば正社員として何歳までも働けるようにした。「年齢だけを理由に退職させるのは公正でないとの考えが土台」(同社広報)だが、「貴重な熟練技能者の活用はメリットが大きい」との判断だ。65歳以上でも、それまでと同等の役割を果たしていれば給与水準も維持できるという。
 人員構成のゆがみを正す企業もある。明治安田生命保険は、65歳定年後の再雇用を70歳まで延長。60歳以降も管理職を続けられる制度を継続する。
 背景には、バブル期採用の50代前後が突出して多いため「その年代に第一線で活躍し続けてもらわないと会社が回らない」(広報部)との事情がある。
 サービス業界では、高齢者の顧客対応には高齢者自身が適しているといった判断も。家電量販店のノジマは、65歳定年後の再雇用を最長80歳まで延長できる制度を導入。高齢の顧客ニーズへの対応もあり、店舗の販売員や本社従業員約3000人が対象。79歳の女性従業員は「働いていると体調が良く、コロナ禍で景気も悪い中、80歳まで働けること自体がありがたい」と充実感を口にする。
 シニアを戦力として雇用継続する企業が目立ち始めたが、逆の対応もある。東京商工リサーチの二木章吉氏は「黒字でも希望退職を募る企業がこの2年ほど相次いだが、70歳まで面倒をみるのは大変なので今から中高年層を絞り込む狙いがあった」と指摘。「コロナ禍で対応を決めかねている企業も多い。人工知能(AI)による省人化の進展も見極める必要があるのだろう」とみている。

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